小売業三重苦の中の好決算

2023年7月16日

「中小企業に淘汰の波」

内閣府発表の6月街角景気の判断指数DIは

53.6と前月比1.4ポイント低下し、マイナスは5か月ぶりとなった。

調査期間は6月25日~30日、好不況の分かれ目となる50は上回ったが、

2~3か月後の景気を聞いたDIは1.6ポイント下回る52.8だった。

 

日経が6月1日~15日に行った144社の「社長100人アンケート」では

人手が不足していると回答した企業が85.6%に上り、

最も多かったのは9割台で53.6%、7~8割台で26.4%となった。

人手確保の為に賃金政策の変更を検討しており、

賃金引上げについては、4%台が最も多く28.6%、3%台が23.8%と

23年の平均賃上げ率3.66%並みか、それ以上の賃上げ水準に達しそうな勢いだ。

 

東京リサーチによると、1~6月期の倒産件数は4042件。

産業別では資材高騰が続く建設業が前年比36%増の785件、

円安による輸入物価の高騰が続く製造業が37%増の459件、

小売業は25%増の434件で、共通するのは人手不足や物価高。

経済が正常化する中で人手確保が出来なかったり、給与水準のアップも影響している。

 

「小売業の決算は好調」

百貨店大手5社が発表した6月の既存店売上は全社が前年同月比で上回り、

ハンドバッグや高額品が好調を維持した中で、

三越伊勢丹が14.3%、大丸松坂屋が13.4%、阪急阪神百貨店が12.7%と増えた。

その他そごう・西部は7.4%増、高島屋は7.1%増と各社の免税品売上は過去最高を更新した。

 

イオンが発表した3~5月期連結決算は、営業利益が17%増の514億円と最高益を更新、

売上高は6%増の2兆3247億円、純利益は8%増の177億円。

消費者の節約志向を取り込んだPB商品が好調で利益を伸ばし、

食品スーパーの営業利益は、都市型スーパーの来店客数が増え、前年比89%増となった。

コスト高は重荷でパート時給の7%引き上げなどの賃金で人件費は110億円増えた。

 

食品スーパー大手のライフCPが発表した3~5月期の連結決算は、

純利益が前年比11%増の44億円、売上高は5%増の1958億円、

惣菜やベーカリーの拡充で既存店売上は2%増え、客数も前年並みを確保した。

特に総菜は売上利益率が5割超えと売上利益率を押し上げたことが大きい。

 

コンビニ大手のローソンが発表した3~5月期連結決算は、

純利益が前年比92%増の160億円と事前予想を大きく上回ったが、通期の予想純利益は据え置いた。

好業績の要因はコロナ5類移行を受けて行楽需要が増え、おにぎりや弁当の売れ行きが好調で、

コメや具材にこだわった「金シャリおにぎり」シリーズや「まちかど厨房の販売が伸びた。

商機を捉えるための積極的な販促を強化、「ハぴろー」など来店動機を促すキャンペーンが奏功し、

客単価も2.5%増、既存店売上は6.2%増と前年の伸び率を大きく上回った。

 

 

外食の吉野家の3~5月期の連結決算は、営業利益が前年比3.3倍の14億円だった。

 

売上高は10%増の442億円で、主力商品に位置付けした「焦がしネギ焼鳥丼」なども好調、

 

既存店売上高は7.6%増と伸び、「はなまるうどん」の売上も19%増と好調だった。

 

只、純利益は時短協力金などが減り、30%減の10億円となった。

 

 

コロナ5類移行によって小売業や外食の業績は伸びている中で、

 

人手不足と賃金の上昇、物価高とエネルギーコストの上昇など三重苦が続く、

 

売上高は増えるがコストも増える環境の中で、いかに利益を残すことが出来るか。

 

利益率を上げていく営業政策が重要になっている。

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