「食品インフレ再熱で手取りは目減り」
国連食糧農業機関(FAO)公表の8月食料価格指数は130.1と23年2月以来の高水準だ。
指数上昇をけん引しているのは食肉で、FAOの食肉価格指数は8月に128と昨年比5%上昇、
特に高騰しているのは牛肉と羊肉で、牛肉は米国中西部の干ばつによる飼料不足が大きい。
その他、コーヒーやカカオは25年に価格転嫁が一段と進み、
8月米国内コーヒー豆の店頭価格は1年前に比べ4割高い。(日経)
日本でも8月消費者物価指数は生鮮食品を除く食料は前年同月比8.0%上昇している。
2025年度の最低賃金が10月より発効したが、
実施するのは10月に20都道府県に留まり、11月が13府県、12月が8県と遅く、
26年になってからの発効も6県あり、最も遅いのは秋田県の3月31日になる。
25年度の最低賃金は全国加重平均で時給1121円と、引き上げ幅は66円になる。
国の審議会が設定した目安を上回るのは39都道府県に上るが、
他方、経営者側の要請で適用時期が後にずれる地域が相次いでいる。
2022年以降のインフレ局面で日本実質賃金の落ち込みがリーマン・ショック時に近い、
24、25年と続いた5%を超える賃上げでも物価の伸びには追い付かない。
名目でなく物価上昇分を差し引いた実質賃金は2022年から3年で4.4%減少、
25年も7月までに0.4%前後に落ち込んでいる。(日経)
10月から暮らしに関わる制度やモノの価格が変わり、
サトウ食品はパックご飯の価格を最大17%引き上げ、「おかめ納豆のタカノフーズは
納豆・豆腐の全商品約70品を値上げ、店頭価格は10から20円高くなる。
その他飲料各社も値上げし、伊藤園の「お~いお茶」500mlは¥194から¥216になり、
自販機で販売する「コカ・コーラ」500mlは税抜き¥200となる。
メーカーの値上げ要因にはエネルギー・原料費と賃上げコストも含まれており、
物価上昇を超える賃上げが続くかどうかが今後のカギを握る。
「値上げに対応する企業戦略」
主要外食33社の8月既存店売上高は、31社が前年同月を上回った中で、
FRのサイゼリアの既存店売上高昨比19.3%、客数昨比17.1%が眼を引いた。
同社は低価格を武器に消費者の節約志向によるニーズを取り込み、
6月から朝食メニューをテスト店から始め、順次全国展開を進めることで営業時間を広げ、
更に客数を増やして売上拡大を狙う。
北陸地盤のドラッグストアのGenkyが快走を続けている。
コスト削減と価格競争力へのこだわりが新たな競争力となっており、
税別でおにぎり¥99、500ml緑茶¥48などGenkyの割安価格は目を引く。
この安さを支えるのはコスト抑制で、売上販管費率は15.6%と主要ドラッグの中で最も低く、
それにより出店政策は一般のドラッグは商圏15000人に対し、同社は7000人で可能としている。
食品スーパーで36期連続増収増益のヤオコーは10月から「ブルーゾーンHD」に移行、
同社は持ち株会社となり、関連会社にDSのエイヴイ、フーコットや千葉のせんどうがあり、
エイヴイでは精肉・鮮魚のPC活用で店内業務のシンプルさ、
せんどうでは千葉県に根差した生鮮の鮮度管理や地産地消・産地開発など、
各地域で多様化する消費者ニーズに細かく対応する体制を目指している。
ヤオコーは親会社ではなく、エイヴイやせんどうのノウハウを導入しつつ仲間を増やす。
セブンイレブンはロボットを使った店舗業務の省人化に乗り出し、
清掃や飲料の補充に複数のロボットを都内の店舗に導入し、中長期的に全国に活用する。
従業員が1日に1~2時間行う作業が不要になり、
アバターを通じて多言語にも対応できる遠隔接客も行う。
コンビニ各社ではローソンが店内で「からあげクン」調理するロボットや
ファミマは1台で在庫管理や清掃をこなすロボットの導入が始まっている。
インフレ経済が続く中で、地域に根付く食品スーパー・ドラッグ・コンビニは
自店の特性を出して差別化を図り、競争力を高めてシェアアップを図る。
節約ニーズの高まりの中で、価格の安さだけが注目されるが消費者はコスパを求めている。
品質と価格のバランスが取れた商品が支持を得ている。
<スーパーの惣菜・米飯・寿司>
<行楽助六寿司・2人前>

*街角通信は毎週1回、配信しています。



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