目的買いの店を目指して

「食料インフレが続く中で小売りの対応」

秋のサケが凶漁予想で、国内漁獲量の9割を占める北海道で前年比7割減となっている。

卸値は同3倍で過去最高値で、鮭の卵・イクラも最高値で正月のおせちへの影響が大きく、

スーパーはじめ小売り飲食の定番お弁当・鮭塩焼弁当は危うくなっている。

原因として高い海水温や青潮と呼ばれる水質悪化でサケが川に戻れなくなっており、

稚魚放流用の確保も苦戦しており、今後の課題も大きい。

札幌市中央卸売場の10月の秋鮭卸値は1kg¥2500と前年同期の3倍となっており、

イクラはさらに高級品となり、新物の卸値は前年の倍の1kg1万8000円から2万円で推移。

 

小売り各社は食料品などの値上げを進めており、

上場企業の営業利益は6~8月期は前年比7%増え、売上高は横這いに推移している。

増益確保の主因は食料品の値上げで、7割の企業が増収になった。

総務省の消費者物価指数によると、パンや飲料など品目で構成する「食料工業製品」は

8月に前年同月比6.5%高で11か月連続で上昇している。

消費の変化は購入点数の減少につながり、低価格指向が目立ってきており、

小売り各社の声は「余計なものは買い控える、価格比較をして購入」が強くなっている。

 

「上期小売り各社の動向」

大手イオンが発表した3~8月期の連結決算は、

売上高は4%増の5兆1899億円、営業利益h20%増、主要8事業の内5事業が改善した。

主力の小売り部門ではPB強化戦略が奏功し、値下げして利益確保戦略で75品を値下げした。

特に食品小型スーパー「まいばすけっと」が好調で、節約志向を高める消費者の受け皿に

なっており、惣菜の品揃えを広げて利益率を高めている。

 

食品スーパーのライフCOの3~8月期連結決算は純利益が5%増の93億円、

売上に当たる営業収益は4%増の4401億円、営業利益は9%増の133億円で

賃上げによる人件費増は惣菜など独自商品が好調で補った。

 

ドラッグ大手のウエルシアHDの3~8月連結決算は純利益は前期比36%増の159億円、

売上高は8%増の6787億円、調剤の売上が11%伸びた中で、

売上に対する人件費率は13.8%と0.3%ダウンした。

ウエルシアHDは食品を強化した新業態の出店を始め、

茨城県に2店を改装開店し、弁当・総菜の品揃えを従来比3倍の210種類に増やす他、

納豆や牛乳、パンといった日配品は複数ブランドを増やし、生鮮品も充実させ、

来店頻度を高めて利益率の高い医薬品などの購入につなげる。

既存店の改装を軸に26年2月期中に9店出店し、

イオンの物流インフラやスーパーの運営ノウハウを活用して拡大を図る。

 

食品スーパーのブルーゾーンHD(旧ヤオコー)は

同業の文化堂(東京)とデライトHD(豊橋市・クックマート)を買収すると発表、

同社の経営戦略である同業の地域スーパーを仲間に加えることで、

同業の特徴や良さを共有化してグループとして成長することを目指す。

同社HDはグループ会社の資金や店舗開発、出店、施設管理を担う。

 

国内人口の縮小に伴い、消費ボリュームも縮小、

その中で食品インフレで消費ニーズは節約消費が高まる中で、

百貨店、スーパー、ドラッグ、コンビニ各社は来店頻度アップする為に、

食料品、日配、惣菜の品揃えを拡大・強化を進め、小売り業態の垣根は更に低くなっている。

その中で生き残りを模索して行く中で、

消費者から「この商品ならこの店」という支持を得られることが最後の砦となる。

 

<スーパーの惣菜・米飯・寿司>

<行楽弁当>

*街角通信は毎週1回、配信しています。

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