賃上げと値上げ、値上げしても売れる商品開発

「景気と賃上げの好循環?」

日銀発表の9月全国企業短観では円安効果が大手製造業だけでなく中小企業にも好影響が出ており、

訪日客によって非製造業にも改善が見られるとした。

百貨店では高額品の購入が増えており、8月は前年比11.8%増と18か月連続のプラス、

三越伊勢丹HDの24年3月期は過去最高の営業利益を見込む。

しかし、飲食やスーパーは輸入食材の値上がりによる仕入れコストアップと、

人件費やエネルギーコストの上昇で不透明の状況から脱していない。

10月からの最低賃金は平均で1000円を超え

それによって、人手募集に地方では各自治体間で1円の競争も起きている。

最低賃金は時給で働く非正規へのセーフティネットの位置付けを超え、

働く場所としての魅力を左右する。

7~9月の商品相場は燃料や食品を中心に上昇し、1年ぶりの高水準になった。

燃料は産油国の減産によって先物は前期比3割超えで値上り、

オレンジジュースは天候不順を受けた不作によって先物は前期37%高となった。

又、砂糖は主要生産国であるインドやタイの干ばつによって原料に悪影響が出ている。

一方、食品の中ではトウモロコシ・小麦・大豆といった穀物油脂については

穀物の豊作と高騰した前年までの反動がありで下落基調で推移している。(日経)

景況感を反映して牛肉の国内消費は、1人当り7月単月で164gに対して、

豚肉は3.7倍の609g、鶏肉は2.9倍の469gと消費の差は広がっている。

1998~99年時点では牛肉1か月1人当り260gを食べていたが、4割ほど減少した。

スーパーでは輸入牛肉肩ロース100g¥300,豚肉肩ロースは同¥110,輸入鶏肉モモ肉同¥100で並ぶ。

国内で伸び悩む国産牛肉は消費先を国外に求め、輸出量は1~7月で前年比19%増に増えた。

「時流を捉えてMD&店舗開発」

福島原発処理水を巡って国内水産業が追い込まれている中、

セブンイレブンは北海道産ホタテを使った「ホタテめしおむすび」¥220,「北海道ホタテクリームグラタン」¥530、

業界ではローソン」も国産水産物を使用したおにぎり・弁当6品を値引きして販売する。

DS店を手掛ける「ドン・キホーテ」を展開するパン・パシフィックHDは

独自の流通ルートを活用し、11月からアジア38店舗で日本産ホタテの販売を始める。

ホタテは産地に近い港や空港から直接、アジア各国に輸出する為、鮮度を保ったまま販売できる。

又、店舗併設で運営するすし店「鮮選寿司」でもホタテの握り寿司を提供する。

イオンは2024年2月期に冷凍食品専門店「@フローズン」を首都圏に5店舗を新規出店する。

単身・高齢者や共働き世帯が増える中、

冷凍食品の市場拡大を追い風に冷食をテーマにした新業態が増えており、

保存が出来て手軽にすぐ食べられる冷凍食品の需要を取り込む。

同社は冷凍食品の価値が顕在化しただけでなく、高付加価値の味が評価されるなど

日本の有名店の味を自宅で楽しんでもらいたい、と期待する。

「インフレ下で伸びるスーパーPB商品」

スーパー最大手のイオンのトップバリューは、「ベストプライス」「メインストリーム」「グリーンアイ」の

3ブランドで展開しており、2022年の売上は9025億円と前期比7.6%伸びた。

更にPB商品を強化する為に全面的に見直しを始め、

消費者は自分にとって価値を認めるものにお金を出す傾向が強い行動に対応する為、

NB商品の模倣から脱却した「より振り切ったもの」を開発することを目指す中で、

6月に「ジョイナッツキャラメルマキアート」など2品を発売した。

成城石井は商品開発で独自の取り組みを進める中、

製品の輸入を抑えて原料輸入を増やし、国内のセントラルキッチンで製造を増やす。

オリーブオイルはバルクで輸入し国内でボトリングすることや、

オリーブの塩漬けは日本で味付け適量を包装するなど、原料・配送コスト・関税を考慮し、

ベストな調達を組み立てて商品開発のバリューチェーンを進める。

賃上げによる消費者の購買力の向上、 企業の賃上げ原資は製品・商品の値上げ、

値上げしても売れる商品力は消費者の変化する価値観を捉えた商品開発とコストダウンがポイント、

変化する消費ニーズを調査分析する努力と人知を超えるAIを活用が重要になる。

<スーパーの惣菜・米飯・寿司>

<出し巻&焼鳥重>

*街角通信は毎週1回、配信しております。

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