「消費の2極化が進む」
高額消費の代表である百貨店の売上は1991年の9.71兆円をピークに
2023年には5.42兆円に縮小し、
今、西武池袋店がヨドバシカメラを主とする専門店に変わろうとしている。
百貨店の利益頭の衣料品は構成比が91年の40.3%から26.8%に下がり、
23年は食料品が27.3%と衣料品を抜いている。
公務員や会社員のボーナスが支給され夏商戦が始まっている中、
百貨店の時計や宝飾品などの高額品が伸びており、高額消費は堅調だ。(日経)
一方、総務省が5日発表の5月の家計調査では世帯所得に明暗が分かれ、
2人以上世帯の消費支出は29万328円と前年同月を1.8%割った。
勤労世帯の年収別の名目消費支出は年収1000万以上の世帯が前年比4%増び対し、
640万より下はマイナス1~2%で、その間の層はプラス1~2%だった。
勤労低所得層に消費が伸びていないことが分かり、
スーパーの店頭では値下げの動きが広がっている。
イオンは3日からPBのトップバリューの紅茶飲料など32品目を2~25品値下げ、
セブン&アイ傘下のイトーヨーカ堂も1日から
調味料やテッシュペーパーなど100品目を平均10%値下げした。
外食においても日本KFCは5月下旬から、バーガーにドリンクがついた
昼食時間帯限定のセット16種類を一律40円値下げした。
すかいらーくHDはFRのガストでピザやハンバーグなどのメニューと
アルコールといった全体の16%に当たる30品目を対象に値下げした。
夏季休暇を前にJTBが4日に発表した推計によると、
7月15日から8月末出発の国内旅行は前年同月比4.2%減の6800万人の見込み、
特に節約志向を受けて短期間の旅行を選ぶ消費者が増えており、
1泊2日の旅行を計画している消費者は全体の37.6%と前年より5.1%上昇した。
「食料確保の課題」
農畜産振興機構が5日まとめた5月末時点の食肉の国内在庫が、
8か月連続で前年同月比6.8%下回り、輸入品在庫減が目立つ。
生産国のコスト高に加え、円安による新規調達が進んでいないことが原因。
一方、鶏肉の5月末の推定在庫は前年同月比6.7%増と牛肉や豚肉に比べ落ち着いている。
日本の人口が1億人を切る2050年代には世界人口が100億人が予想され、
農水省は畜産物の需要が世界全体で10年比1.8倍に拡大すると試算、
タンパク質需要を確保するには、2人に1人は代替え食のタンパク質と動物性を
バランス良く組み合わせることが重要になると予想する。
代替食として肉や魚、代替卵、植物性ミルク・スイーツ、昆虫食などが
日常の食卓に並ぶことが当たり前になり、健康増進につながるとも期待される。
カゴメは業務用に続く代替卵として、今春に原材料の配合を見直し、
より卵に近い味わいと風味を改良した。
湯煎や電子レンジで温めればすぐに食べられ、加熱しても食感や味、色を損なわない。
コルステロールはゼロでカロリーや脂質はそれぞれ約6割少ない。
代替卵はキューピーが発売した「ほぼたま」では約350社の卸を通じて
ホテルや飲食店、幼稚園・保育園に広がっている。
天然資源に依存した二ホン鰻の稚魚を人工的に大量生産する技術を
水産庁の研究機関が構築したと4日発表した。
成熟した母ウナギから毎週200万個の受精卵を安定的に採取することに成功。
水槽で幼生のウナギをふ化させ、鶏卵や脱脂粉乳などの原料で育て、
シラスウナギの稚魚まで成長させる。
専用の自動給餌装置や大型の水槽も開発、安定生産と効率化を進め、
この技術を養殖に関心のある自治体や企業に提供し、制度面を含め整えるとしている。
世界の人口増と地球温暖化に伴う食料不足による価格上昇、
それに伴う物価の値上がりによる節約消費の高まり、
この環境下において食料確保の技術革新が続くが、
消費ニーズの2極化は深まっていく。
<スーパーの惣菜・米飯・寿司>
<専門店・柔らか穴子重>
*街角通信は毎週1回、配信しております。
コメント