物価上昇と対応する新商品開発

「景気改善は続くか」

6月の勤労統計調査で、名目賃金から物価変動を除いた実質賃金は

2年3カ月ぶりにプラスに転じた。

従業員5人以上の事業所では実質賃金が前年比1.1%増え、

夏の賞与を含む「特別給与」が7.6%増と大きく伸びたことが、

基本給を示す所定内給与は2.3%増と高い伸びにつながった。

日経MJがまとめた主要外食33社の6月既存店売上高は、

全社が前年実績を上回り、全社増収は2023年9月以来9か月ぶり。

期間限定メニューが好調だった他、人気アニメなどとのコラボや

高価格帯商品を前面に打ち出したフェアで客数が伸びた。

回転寿司チェーンやファミレス、麺業態は既存店2桁増収となった。

内閣府発表の7月街角景気調査では、

前年比0.5ポイント上昇の47.5で、2か月連続で改善した。

インバウンド需要が好調だった他、円安による物価上昇懸念が和らいだ。

猛暑に関する需要が急増、家電販売店は定額減税やボーナス商戦で高額品の動きが良く、

先行き判断指数は前月から0.4ポイント上昇した48.3となった。

「物価上昇の中でMDの対応」

農水省が発表した直近1年間の主食用米の需要実績が前年比1.6%増の702万t、

10年ぶりに前年実績を上回り、インバウンドなどの消費が背景にある。

需要の増加と猛暑による供給不足を受け、在庫水準が大きく下がっており、

24年6月末の民間在庫量は前年同期比21%減の156万tで

統計を開始した1999年以降で最低水準となった。

水産庁は8~12月のサンマ長期漁予報を発表した。

日本近海にやって来るサンマの群れは2023年に続き低水準で推移しており、

今年の分布量は前年並みの92万tで、サンマ1匹100gを下回り、

8月中旬から10月ごろまでは1匹90~110gで、その後は同80~100gの予想。

23年の全国水揚げ量は2万4千tと5年前より8割減少、平均卸値1kg当り1288円だった。

コンビニ大手3社の3~5月決算が出揃い、

ローソンとファミマは節約志向が高まる中で、増量など販促キャンペーンで増益を確保、

一方セブンイレブンは節約志向への対応が遅れ、営業利益は4%減となった。

ローソンはおにぎりやデザートなど価格を変えずに増量し、

ファミマはチキン惣菜などを期間限定で増量したり、対象品を1点購入で1点無料の提供、

これらの販促策が客数増加につながっている。

セブンイレブンは6月沖縄の店舗で主力のおにぎりを従来より3割安い商品を先行発売、

手巻おにぎり「しゃけ」「ツナマヨネーズ」¥138、など全国に広げた。

コンビニ商品の分析を手掛けるジーアイ・マーケティングによると、

24年4~6月のおにぎり平均価格は20年同期比24%高い176.5円だった。

日本マクドナルドの1~6月期の連結純利益は前年比31%と同期間で最高益を達成した。

既存店売上高は前年同期比7.1%増で、1月に主力のビックマックなど、

3分の1の商品で10~30円値上げし、客単価が3.7%増えたほか客数も3.2%増えた。

値上げ後、クーポンや期間限定の値引き策でお得感を出したことが寄与した。

いちよし経済研究所の研究員は同社を「安かろう悪かろう」のイメージから一線を画している。

「栄養を考える商品開発」

イオンは横浜市と共同で健康に配慮した弁当2品を開発し、首都圏総合スーパーで販売した。

1品目の販売数は計画を2桁%上回って推移している。

横浜市が定めた主食や副食などのカテゴリー別の栄養基準に沿ってイオンがレシピを作成。

例えば「ハマの元気ご飯」として、ラージは1色当り650~850KCal、

主食のご飯は150~200g、食塩相当量は3.5g未満と定めている。

商品は「肉の旨味が溢れるハンバーグ&彩り野菜弁当」¥645でご飯180gを入れている。

厚労省は「日本人の食事摂取基準」で規定した33の栄養素を1食でバランス良くとれる食品

完全栄養食品」市場が注目されている。

健康志向の消費者のみならず、コスパを重視する若い世代にも支持を得ており、

市場のパイオニアは16年設立のベースフードで24年2月期売上は148億円。

ベースフードは主食の特徴である「誰もが口にして、毎日食べても飽きない」点を

実現する為、おかずに合う商品や多様なフレーバーを工夫している。

近年、大手の日清食品「完全めし」や味の素がスープやパスタで参入している。

国内消費はコスパを重視する節約消費に注目されており、

小売り・外食各社はコストアップ環境の中で値上げと割安感をいかに提供できるか、

一方、新たな食ニーズが広がっており、それを取り入れた商品開発が見逃せない。

<スーパーの惣菜・米飯・寿司>

<お盆弁当>

*街角通信は毎週1回、配信しております。

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