「気候変化と食資源」
スーパー店頭でコメ不足が発生し、店頭価格は2~4割高で推移する中、
24年産新米価格に注目が集まり、
JAグループが農家から買い取る価格は昨年より大幅に高値になっている。
主要産地の北海道ゆめぴりかは前年比29%高、秋田のあきたこまちは39%高など
新米価格は2~4割高が決定的になった。
23年産は猛暑の影響で流通量が減ったところに、訪日外国人による外食需要が重なった。
農水省調べの2024年産米の作柄状況は、
青森産が「良」、北海道・秋田・岩手産など11道府県が「やや良」となり、
コメの生産量の多い地域で生育が順調に進んでおり、品薄感か解消に期待がかかる。
その他、「平年並み」が最大産地の新潟県を含め31都府県だった。
一方、「やや不良」は宮崎、佐賀、長崎の3県だったが、5月以降に気温が高くなった影響で、
各産地では生育が早い傾向があり、
コメが大きく影響受ける8月は適度な降雨もあり、順調な生育になっているようだ。
一方、秋の味覚「サンマ」は北海道東から三陸沖にかけて「海洋熱波」が続いている。
サンマが日本に近づけない状況が続いており、今秋も不漁になりそうだ。
不漁の大きな理由は、暖流の黒潮が北に張り出し、北海道東から三陸沖にかけて
海水温は7月下旬で平年比4~5度高いという。
水深50mでは同10度以上高い海域もあり、「暖水塊」がサンマの回遊ルートに居座っており、
この亜熱帯化する気候変動は水産資源に大きな影響を与えている。
食資源の高騰に対して外食の7月の既存店売上は主要24社が既存店売上を上回った。
客数の減少もあるが、高単価メニューや季節限定メニューで客単価が伸びて対応が出来たが、
マクドナルドなど2社は客数の落ち込みを客単価で吸収出来なかった。
業種が明確になっている外食の中で差別化できる商品開発が決め手になっている。
食品卸最大手、日本アクセスの業績が好調で、2024年3月期は前期比6%増の最高益を更新、
食品メーカーによる値上げの浸透や外食需要の拡大を追い風に
消費者の間に物価高による値上げ疲れが広がる中、うまく需要拡大をして来た。
同社によると、値上げが続く中で消費者はPBブランドなど安いものを購入する一方、
睡眠改善など付加価値のある食品にはお金をかけるようになっていると分析、
消費者の買い物行動は二極化と言われるが、今は「多極化」に変化しているという。
地域に合わせた商圏分析をして、小売り側に提案する「情報卸」として今後対応していく。
「物流DXに取り組む」
2024年の物流問題が始まって、市場の変化と各社の対応が目立ってきた。
市場では冷凍輸送が出来ない青果物で産地の収穫翌日に販売出来ない商材が出て来ており、
東北産は東京市場で止まってしまうことが多くなり、
週5日入荷しているものは週3日入荷まで減ったものが出て来た。
産地ごとに集約が進み、直送ではなく市場経由で転送されるものしか入荷しない場合もある。
コンビニの宅配好調もあり、ヤフーと出前館は2024年以内に日用品や生鮮食品の
「即配」を全国で展開する。
出前館に出店している各地域の小売店と連携し、最短30分で商品を配送する。
LINEヤフーはダークストアを閉鎖し、倉庫方式から店舗配送型に変更し、
全国の小売店と協力してより安定した配送と利益を追求する。
共働き世帯や「タイパ」を重視する若年層の増加を背景に、即配市場は成長が続く。
アマゾンジャパンは北海道でも注文翌日に商品が届く「翌日配送」を始めた。
同社は札幌市内など7市町村を対象に、前日の正午までの注文で
他の地域向けと同等の品目数、700万点以上の商品を翌日に配送する。
これまで首都圏の大型倉庫から北海道にある出荷拠点への幹線輸送は
トラック輸送と海上輸送だったが、一部をANAの空輸便に変更して対応する。
又、同社は国内の配送拠点から各世帯・事務所までの「ラストワンマイル」分野に
250億円追加投資し、「置き配」を利用しやすくする宅配ロッカーを増やす。
地球の温暖化による環境変化で食資源の産地・品質・量が変化して行き、
価格はアップトレンドで進んで行く。
企業は消費者の嗜好を把握して、値上げが出来る商品開発が成長の条件になる。
<スーパーの惣菜・米飯・寿司>
<お彼岸天むす弁当>
*街角通信は毎週1回、配信しております。
コメント