「街角景気はダウン傾向」
内閣府発表の9月街角景気は判断指数DI が47.8と8月から1.2ポイント悪化した。
厳しい残暑で秋物商品伸び悩んだことやコメ不足と値上げの影響が出ている。
・調査は9月25日~30日、1831人から回答
家計調査では減少幅が最も大きいサービス関連が48.1、小売り関連が45.9になった。
2~3カ月先の先行き指数は前の月から0.6ポイント低い49.7とダウン傾向にある。
厚労省発表の8月勤労者統計では実質賃金が0.6%減少、
夏季賞与の押し上げ効果が薄れて3カ月ぶりにマイナスとなった。
基本給を示す所定内給与は3.0%増と高い伸びになっており、
パート労働者の時給も2023年の最低賃金引き上げで4.8%伸びた。
一方で個人消費の伸びは8月の家計調査によると、実質1.9%減った。(日経)
物価上昇、人件費の上昇によるコスト増加が経営不振の中堅・中小企業の倒産が増えている。
2024年上半期の企業倒産件数は半期として10年ぶりに5000件を超えた。
東京商工リサーチの発表によると、24年上半期の全国倒産件数は前年同期比18%増、
上半期の物価高倒産は472件と過去最高、業種別では資材価格の高騰、
人手不足に悩まされる建設業が127件と最も多く、小売業は87件だった。
同社の調査ではコスト上昇分を価格に転嫁できているかを示す転嫁率が、
24年2月から7月にかけて拡大した中小企業は3割にとどまった。
「食品・日用品に節約の波」
小売業の上半期決算が発表される中で、スーパーの苦戦が出ている。
イオンが発表した2024年3~8月期の連結決算は純利益が前年比76%減の54億円だった。
イオンの主要8業種の内、小売り部門が不調になった要因として、
・人件費の上昇、同社は国内最多の40万人のパート時給を2年連続で7%引き上げた。
・イオングループ共通のアプリ「ワオン」やクーポンの販促費はあ10%増に拡大、
・老朽化した既存店の改修費用は7%増えた。
小売り部門で売上げを伸ばしたが、利益の伸びが経費の伸びに追い付かなかった。
ユナイテッド・スーパーマーケットHDは2025年2月期の連結最終損益が9億円の赤字
になる見通しだと発表、従来予想の黒字から一転して赤字になる。
カスミや傘下のスーパーで加工食品を中心に値下げ販売を強化したことで
粗利益率が想定を下回ることになった。
2024年上期決算の売上は前年比2%の増、最終損益は21億円の赤味だった。
上場小売業の24年6~8月期決算ではスーパー・コンビニで19%の減益となる一方、
百貨店の純利益はインバウンド効果が大きく、増益を確保する企業が多い。
ドラッグのコスモス薬品の24年6~8月期の連結決算は
純利益が前年比25%増の81億円と発表された。
同期間では過去最高で、出店の拡大で仕入れ値を押さえ、
又、PB商品の拡大による割安商品がスーパー利用客からドラッグへ流れた。
小売業の大きなコストアップはパート時給や賃上げによるところが大きく、
この人件費のアップはこの後も続くことが予想され、
コストアップ以上に値入率を確保できる商品開発が重要になる。
値入率確保は割安商品の拡大では難しく、付加価値のある商品開発を強化したい。
<スーパーの惣菜・米飯・寿司>
<秋の紅葉握り>
*街角通信は毎週1回、配信しております。
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