自店客層と差別化の重要性

「人件費・物価高が経営に重くのしかかる」

人手不足続く中、10月から人材派遣会社から顧客企業に請求する料金が1%上がった。

派遣会社は企業から受けとった派遣料金の内、

社会保険料など差し引いた残りをスタッフに時給として支払う。

契約は3カ月や半年ごとの更新が通例で、料金もこのタイミングで見直す。

10月の更新では主力の一般事務職が2550~2900円と中心値で25円、1%上がった。

販売職は2350~2700円、製造ラインは2050~2200円で、宿泊やレジャーなどの企業から

ニーズが増えており、10月からの最低賃金アップの影響もある。

2025年の賃上げの話題が出ており、連合は今年同様に5%賃上げ目標を決め、

家電量販店のノジマは従業員の約9割の賃金を平均7%引き上げる。

まず25年の1月に全従業員対象に2%のベースアップを実施し、4月には現場手当を新設する。

又、25年春の入社予定の新入社員初任給を最高水準の30万円として、人材の確保を目指す。

パーソナル総合研究所は2035年時点の労働者不足が23年の2倍、384万人になるとまとめた。

コメの高騰で消費者は購入を控え、各社は炊飯のかさ増しが出来るもち麦の生産を増やす。

穀物大手のはくばくは家庭用もち麦の売上が8月は前年比44%増、9月が30%増となり、

サッポロ一番ブランドのサンヨー食品の袋めんの出荷量は前年比10%伸びた。

農水省によると、9月23~29日の全国スーパーで販売されたコメは前年比24%減少した。

又、消費支出に占める食費の割合(エンゲル指数)が上がっており、

2024年1~8月は(2人以上世帯)28.0%と1982年以来の高い水準となっている。

「上期の厳しい小売り決算」

物価高と賃上げによるコストの上昇に対して、売価の値上げが追い付いていない。

各社は値上げによる買え控えを懸念しており、既存商品の値上げや新商品開発が進んでいない。

上期(3~8月)の営業利益はイオンが16%減、ライフCPが1%減、イズミが22%減、

イオン傘下のUSMHは赤字決算となる中、25年の賃上げは今年同様の予測が出ている。

利益を確保する為に消費者に納得できる値上げが出来るかが問われている。

厳しい小売り決算は外国でも起きており、

セブン&アイHDの上期海外事業は米国のインフレでコンビニ事業は営業利益が35%減、

ミニストップのベトナム事業は赤字、中国のファミマやローソンは赤字店舗縮小を検討。

又、厳しい小売り決算の中において、セブンイレブンに対して外国から買収提案が出ており、

世界から見れば日本の小売りのノウハウは高い評価を得ている。

「進化する小売りデジタル・DX化」

鮮魚店運営の角上魚類HDはモンスターラボと業務のDX化で連携し、

受注明細のデジタル化「セリ原票アプリ」を導入、

買った魚の原価や数量をデータ化してアプリを通じていつでもデータを見る事ができる。

地球温暖化の影響を受けやすい専業の買い付けデータを参照することで

市場の値動きに合わせ勘や経験知だけに頼らない買い付けが出来るようになる。

今後は年末年始など多くの量を買い付ける繁忙期に、事前の発注準備が出来るよう

アップデートを図っていくという。

イオンは小売りとしては最大級のネットスーパー対応のAI倉庫を稼働し、

倉庫への入庫から配達まで全工程をAIとロボットを活用し、

徹底した温度管理と業務効率化で生鮮品を直送する。

入荷した商品は無人搬送車で在庫コンテナに詰め替える仕分けラインに自立移動、

ラインではクレーン型ロボットを使い、12kgの商品を軽く持ち上げ移動、

専用のウェブサイトやアプリから注文が入るとロボットにデータが飛び、

自動で商品をピックアップ、最大5万品目から秒速4秒で商品を集荷し、

人間の10倍の作業スピードで商品が動く。(日経)

スーパーのみならず小売店経営環境は厳しい状況に置かれている。

仕入れ原材料や商品の値上がり、実質賃金マイナスによる消費者の買い控え、

最低賃金の引き上げによる人件費の上昇、

思うように商品の値上げが進まない中で、荒利額の確保が達成出来ない。

この環境下において、消費者から選択される店舗・商品にする為に何が必要か。

客層を絞り、その中で差別化出来るスタイルを確立することが重要になる。

<スーパーの惣菜・米飯・寿司>

<秋の旬握り>

*街角通信は毎週1回、配信しております。

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