「値上げによる客数減と客単価アップ」
日経MJがまとめた9月主要外食32社の売上高は、全社が前年実績を上回り、
全社の増収は6月以来3カ月ぶりだった。
6月以降の値上げがあり、その中で客数を落としても客単価をアップして売上増は
吉野家は客数5.2%減で客単価13.2%増、幸楽苑は客数2.7%減で客単価13.3%増、
一方、客数を大きく伸ばしている企業は
サイゼリヤ客数は20.8%増で客単価3.5%増、スシローは客数15.1%増で客単価1.1%減、
今後、値上げが環境が続く中で、客数を維持できる値上げが課題になって来る。
人手不足が深刻なサービス業は人件費増を値上げに転嫁する動きが活発になる中、
値上げ幅で最も多かったのは「5~10%未満」は39.9%で「5%未満」は31.7%だった。
値上げ理由は「原料高を転嫁」が60.8%と最も多く、「人件費上昇を転嫁」は56.5%と続く。
一方、料金を変えていないと回答の企業は42.2%と増え、
物価高で節約志向が強まっていることで需要減少を懸念していることが伺える。
クリーニングのサトウ商会では23年と24年7月に値上げした結果、注文数は8%ほど減少した。
付加価値の付けられない値上げは、消費者の需要がストレートに減少する。
「付加価値・コトづくりに取り組む」
スーパー対象におにぎりを供給している大手コメ卸のミツハシは、
スーパーは「おにぎりブーム」に乗り切れていないとの危機感があり、
コンビニより中高年が主な客層のスーパーはこれまで鮭や昆布といった定番が多く、
店頭では賞味期限は店頭に並べて1日以内が多い。
この危機感から新たなおにぎりとして「地球の歩き方」シリーズをテーマに
2か月ごとに商品を入れ替えて、関東地方のスーパー約500店に商品を供給している。
10月には「広島お好み焼おにぎり」¥160を発売し、今後も別の地域の名物とコラボした
商品の投入を予定している。
「令和のコメ騒動」を契機にもち麦を使用したおにぎりなど中食や外食で増えており、
はくばくのもち麦の販売額は4~9月に前年比17%増え、同社のシェアは約8割になった。
もち麦はプチプチとした食感と水溶性食物繊維を豊富に含み、
健康志向からもち麦入りおにぎりはコンビニの定番となり、冷食でも品揃えが増えている。
同社は品種改良によって前回とは異なるもち麦に切り替わっている。
非製造業の生産性について、財務省の法人企業統計によると、
23年の従業員1人当りの労働生産性(付加価値)は728万円で30年前に比べ3%の伸びで、
製造業の労働生産性は947万円で30年前より36%アップしている。
人手不足環境で24年の賃上げは連合調べで5.1%アップし、25年は6%以上を求めるが、
コストが上がった分を値上げしているだけでは利益は増えない。
そこに付加価値を付けた売価に変更する技術がないと、人手不足と企業の成長はない。
「食資源確保が進む」
「令和のコメ騒動」が起きた2024年のコメの生産量は前年より22万t多い683万トン、
24年7月~25年6月の需要見通しの674万tを上回ると予測した。
しかし影響は今も残り、首都圏のスーパーでは5kg入りが軒並み¥3000以上で販売され、
総務省の小売り物価統計では10月のうるち米の(5kg)価格は前年より7割高い。
農水省は新米が出回る前の端境期に当たる来夏の民間在庫量は162万tになると推計、
今夏の153万tから回復するものの、コメ市場の需給は引き締まると見ている。
丸紅とノルウェーの企業が共同で国内陸上養殖したアトランサーモンの本格出荷を始め、
首都圏のスーパーなどで販売を始めた。2025年4月にも全国で安定供給する見通しで、
27年には国内最大規模の5300tに増やす計画だという。
名称は「フジアトランサーモン」で、身の品質はノルウェー産と同等、寿司や刺身など生食
に適している。
その他、NTT グループの陸上養殖を手掛ける子会社NTTグリーン&フードは、
8月に関西電力から買収した磐田市内でエビ養殖を実施、26年には年産約200tの出荷を見込む。
食資源の開発が進む中でも地球人口の増加には対応できる見込みは少ない。
食原材料費や人件費の増加に対して、売上と利益を確保して生産性を上げる努力は欠かせなく、
その為には消費動向・ニーズを捉えた付加価値商品開発が重要になる。
<スーパーの惣菜・米飯・寿司>
<本マグロ入り握り寿司>
*街角通信は毎週1回、配信しております。
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