「就業者は最多でも潜在労働力は減少」
総務省が公表した2024年の就業者数は6781万人と前年から34万人増え、
1953年以降最も多くなった訳は、女性やシニア層の就労が広がったことが要因。
就業者数はコロナの影響で20年から減少したが、その後は回復して来た。
15歳以上の就業者の割合を示す就業率は24年に61.7%と拡大し、
男性は10年間で1.9ポイント上昇宇したが、女性は6.6ポイント上昇、
高齢者の就業率も高まり、65歳以上は前年比0.5ポイント高い25.7%だった。
就業者の内、正規雇用は39万人と大きく増え、非正規雇用は2万人増となり、
小売業などで働くパートなどが正社員に登用される例が増えたことが大きい。
政府統計から「働こうと思えば働ける人」・潜在労働力は
2024年7~9月期、10~12月期は31万人と統計を取り始めた18年以降最少だった。
日銀短観によると雇用人員判断指数は全産業はマイナス36,
非製造業はマイナス46で人手不足感は2013年以降で最も高まっている。
その傾向は「人手不足倒産」が24年に289件と13年以降で過去最多となった。
人手不足を背景に企業が採用を増やしているのが外国人労働者で、
外国人は就業者全体の3.4%を占め、230万人となった。
数で見ると製造業が59万人と最大で、サービス業が35万人、小売業は29万人が続く。
「シニアが人手不足のキーマンに」
外食のスタバやマクドナルドはアルバイトの年齢制限はなく、
マックでは外食企業で最大の8500人が働き、10年で3倍超えになった。
マックの仕事は調理や商品提供、接客、清掃など仕事が細分化され、
忙しくなればなるほどシニアも働きやすい仕事が生まれる。
同社の虎の巻として、
・1日2時間からの勤務OKで1週間ごとのシフト作成
・各業務を分かりやすく学べるタブレットを配置
・店長にアルバイトの採用権限があり、能力や適性で判断できる。
・学生など若者の特性を見て店内スカウトをシニアが主導
「百貨店の再生例」
都心百貨店は訪日客の増加が寄与して好決算を出している。
三越伊勢丹HDの4~12月期の連結決算は純利益が前年同期比49%増の464億円。
しかし郊外店や地方の百貨店ではインバウンド効果は薄い中で、
専門店のブランドを借りるフランチャイズで再生を図る。
近鉄百貨店はスーパーの成城石井、ファミマ、タリーズコーヒー、北欧雑貨マリメッコなど
FC契約の導入を図り再生を図る。
同社のFCは2月時点で27業種70店まで広げ、FC事業は一般取引形態より粗利率は
10ポイント以上高いという。
「外食が狙う小売り専門店」
コメダ珈琲店は新業態のおにぎり専門店を2月に開業した、
東京・新宿・埼玉川口でおむすび「米屋の太郎」をオープン、
コメは数種類を配合した「コメダブレンド」を使用、鰻や名古屋コーチンといった
愛知県産の具材を使った「とり天むすび」¥350,「味噌ヒレカツむすび」¥330など
名古屋の名物にこだわった品揃えで小売りに参入する。
同社ではコメダの和風喫茶「おかげ庵」を併設する店もあり、
おむすびはテイクアウトの他、一部はおかげ庵で食べられようにする。
おむすび専門店は小規模チェーンや個人店が多く、大手飲食店が手掛けるのは珍しく、
スーパー・コンビニなどの小売業との競争も激しくなる。
国内において高齢化と人手不足が進行する中で、
企業の中にシニア層の働きやすい環境とコンテンツを充実させる必要がある。
その仕組みづくりが出来て来ないと人手不足問題は解決されない。
伸び率の高い中食・惣菜にはスーパーの他に異業種や専門店の参入が今後も続き、
消費者の選択肢は広がり、競争は激しくなる。
<スーパーの惣菜・米飯・寿司>
<雛みにオードブル>
*街角通信は毎週1回、配信しています。
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