「食資源と物価の動向」
天候気温に左右される農産物の中で、ロシアが天候不順による不作で生産が落ち込み、
15日から小麦の輸出を前年同期比6割減の1060万トンに制限した。
穀物の輸出制限は6月末までの時限措置だが、
トウモロコシ・大麦やライ麦についても輸出枠をゼロとすることで、
ロシアからの小麦輸出量は前年度比16%減少する。
ロシアは世界最大の小麦輸出国で、指標となるシカゴの小麦先物はおよそ4カ月ぶりの高値を付けた。
北海道十勝地方の「大トロイワシ」の評価が高まっている。
数千匹に一匹とれる脂乗りの良いイワシを選び、船上で冷凍保管などの鮮度管理を徹底、
「とれたて」の味を実現する。
大トロイワシは産卵前の脂がのっている9~10月に漁獲された魚体を中心に扱い、
肉厚で脂のりが良く、刺身で食べても魚特有の生臭さがほとんどない。
イワシの漁期は夏は道内でも海水温が高くなるため、地下水を使って作った人工海水で冷やし、
水揚げから10時間以内に液体窒素を使って急速冷凍する。
牛肉の国内消費量が5年連続で減少、農畜産振興機構によると2024年は前年比1.5%減の86万t
コメや野菜の値上がりが続く中、割高な牛肉に消費が伸びず外食でも牛肉離れが進む。
牛肉離れの一方で人気を集めているのが鶏肉で、24年の消費量は前年比3%増の234万t
牛は飼育期間が2年以上と長く、鶏の約3カ月、豚の約6カ月に比べコストもかかり、
肉用牛を扱う農家は全国で3万6千戸とこの5年間で9100戸減少した。
割安感の代表格だった「カット野菜」の価格が値上り始めている。
最大手のサラダクラブは創業後初めて「千切りキャベツ」の参考小売価格を¥130に値上げ、
業界団体も値上げを受け入れるように働きかけている。
同社によるとカット野菜の市場は約2000億円と納豆やミネラルウォーターと並ぶ中で、
日経POSによると卵は5年で4割値上がり、牛乳は16%上昇、カット野菜も11%値上がりした。
「賃上げと値上げで業績改善」
流通や外食企業の加盟するUAゼンセンは、イオングループが2025年春季労使交渉で
満額回答の7%で妥結したと発表した。
イオンリテールはパート従業員の時給を7.07%、実額で81.0円引き上げる。
パート賃上げ総額が7%以上となるのは3年連続となり、正社員も要求通り5.34%となる。
外食企業でコメなど食材の値上げが高水準にある中、
メニューの値上げやデジタル機器を使った業務の効率化で、
大手19社の直近24年10~12月期は営業増益になった。
食材費値上げ影響が大きい売上原価率は、19社全体でも1.9ポイント増の42.6%になったが、
それでも営業利益率は6.6%とコロナ禍前より2.1ポイント改善したのは、デジタル活用効果が大きい。
「おにぎりが節約消費を支える」
おにぎりがコンビニやスーパーで伸びているいる中で、「値ごろ」と「リッチ」の二極化が
進んでおり、コンビニ大手4社の2024年人気ランキングでは「ツナマヨ」がトップだった。
その他「しゃけ」は売上上位に入っているが、コンビニ各社はここ数年コメや具材に力を
入れて来た中でご馳走路線の商品も堅調だが、
セブンイレブンは「うれしい値」と題し、「ツナマヨ」や「しゃけ」¥138や、
ミニストップはあ「いつも¥98」と銘打って値ごろ感のある商品の展開が強める。
2人以上世帯の食卓実態調査を行ったインテージによると、
おにぎりはここ10年間で10%以上増えている反面、おにぎりに使う具材は微減している。
減少は15年比海苔が10.4%、その他梅干し7.2%減、自然塩4.8%減が代表で、
増えている具材はふりかけ類6.3%増、鮭フレーク0.5%増、と手間をかけないものが、
20~30代の若者世帯で増えている。
経済はデフレからインフレへと移行しており、その状況下で商品の値上げが必須だが、
消費者の節約消費にどう対応できるかがポイントになる。
その為に消費ターゲットを明確にした商品開発や品揃えが必要になる。
<スーパーの惣菜・米飯・寿司>
<おつまみセット>
*街角通信は毎週1回、配信しています。
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