「インフレ時代を映す食品の動向」
関西の食品メーカーが冷凍食品で新たな販路や顧客を増やしている。
シノブフーズは製造ラインを新設し、生産能力は従来の5倍規模になり、
おにぎりやサンドイッチといった食品が主力で、ファミマなど大手コンビニや
食品スーパーなどに供給している。
2020年に大阪工場に冷凍の弁当や総菜の製造ラインを設置して、
収益性を検証した中で、本格的な増産にシフトしている。
「ほっかほっか亭」のハークスレイは年内にも冷凍弁当の製造卸に参入し、
外部のドラッグストアや食品スーパーへの供給を想定して、
1食当りの価格は¥250程度を目指す。
調達した野菜などの食材は加工後に弁当のパーツとして冷凍保存し、
弁当製造時に使う方式をとることで、
食材が安い時に大量調達して必要な時に必要な分の食材だけ使うことが出来る。
冷蔵の弁当に比べてコスト面でも有利になると見込んでいる。
弁当は店内の作り立てから冷蔵弁当で販売期間が1日伸び、
更に冷凍弁当で販売期間は数倍以上に伸びることで、小売りや消費者のメリットは大きい。
コメが高騰する中で手軽に食べられるおにぎりは家庭での定番、
白米は減少傾向にも関わらず、おにぎりはこの10年間で10%以上増えた。
反面、おにぎりに使う材料は緩やかに減少しており、
インテージの2人以上世帯の食卓実態のパネル調査では、
1位は海苔の51.6%で15年比10.4%減、2位はふりかけ40.8%で同年比6.3%増、
3位は鮭フレーク18.0%で同年比0.5%増、4位は梅干し・梅漬け17.3%で同年比7.2%減、
嗜好には年代で差が大きく、シニア層は海苔の利用が高く梅干・塩鮭といった伝統的な
おにぎりを好み、伸びが顕著なのは13位のマヨネーズや15位のツナは50代以下が目立つ。
DSのドンキ・ホーテがご飯の友として「めしドンキ」を掲げてインバウンドを魅了、
現在はPB「情熱価格」の合計で66品目あり、日本人だけでなく外国人が買いあさっている。
代表はどこでもTKG「玉子かけご飯風ご飯のタレ」¥647、
24年11月~25年2月までに16万個を販売、訪日客の比率は4割弱になっている。
商品は小型容器に入り黄色ソースは植物油と卵黄、もう一つは醤油と鰹節エキスが入り
ご飯に両方をかけて食べる今までにない発想の商品だ。
「販売促進マーケティング」
店の購買の場面で音を通じて、無意識のうちに何かの影響を受けている。
聴覚の影響は昔から注目されて来ており、米ロヨラ大学の実験によると、
BGMにスローテンポを流すと、アップ店舗に比べ非計画販売が37%増加した。
音楽は人々の知らぬ間に行動を左右しており、流れる音楽が商品や環境に適合していると、
消費者の購買行動に影響を与えるという。
例えば高音域の音楽は健康的な商品や低カロリー食品の選択を促すと言い、
「軽い」「高い」といった特徴を持つ高音域は道徳性の概念とつながりやすい。
近年、惣菜売場で天ぷらやカツの揚げる音やデスプレーの表示が増えて来ている。
デジタル技術で店舗の高度化を積極的に進めるスーパー・トライアルは、
自社開発のタブレット付き買い物カートを利用して買い物客の購入に合わせて
商品クーポンをタブレットに表示して購入につなげる。
このリテールメデアはメーカーから広告料を得て商品のクーポンなどをアプリや
画面に表示する仕組みで、これは小売り事業よりも利益率が高いという。
トライアルHDは自社でタブレット付きカートを約2万台運用し、
自社でデータ分析する体制を整えている。
食品メーカーが出す新製品が、5年前に比べて2割減ったことが日経の調べで分かった。
物価高で生産や物流コストが上がってきていることが背景にあり、
各社は定番商品に絞って効率良く稼ぐ戦略に転換してきている。
日経が2019年から24年の間に新規発売された商品を時系列に分析し、
24年は約7万3千品目、5年で23%減少した。
代表商品で乾燥パスタ63%減、果汁100%飲料53%減、食パン49%減などの減少が目立った。
各社が新製品を減らす背景には、物価高などのコスト高から開発のハードルが上がり、
又、消費者の選別の目も厳しくなり、売れ筋の商品に注力せざるを得なくなっている。
経済はインフレに振れて来ており、家計収入は物価高に追い付いていない。
消費者の消費はコスパを重視して慎重になり、メーカーのMDも変わって来ており、
インフレ経済が好転するまで、小売りも自店の定番強化を更に進めることが重要
<スーパーの惣菜・米飯・寿司>
<寿司弁当>
*街角通信は毎週1回、配信しています。
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