賃上げと生産性の向上

「賃上げ回答、平均5.46%」

連合が発表した2025年春季労使交渉の集計によると、

基本給を底上げするベースアップは3.84%で昨年より0.14ポイント上がり、

定期昇給を合わせた賃上げ率は平均5.46%、昨年より0.18ポイント上がった。

 

流通や外食などの労働組合が加盟するUAゼンセンによると、

制度昇級などを含むパートタイマー1人当りの賃上げ率は6.53%(時給75.7円に相当)で

正社員の賃上げ率を9年連続で上回った。

正社員の定期昇給を含む賃上げ率は5.37%(1万7046円)で、

規模別では、組合員300人未満の中小組合で5.94%、300人以上の組合は5.36%だった。

 

日本商工会議所によると、政府が発表した2020年代に全国加重平均1500円にする目標を巡り、

「対応は不可能」19.7%、「対応は困難」54.5%で、計74.2%に達した。

最低賃金時給を20年代に1500円にするには、年平均7.3%の引上げが必要で、

その為には「設備投資など人件費以外のコスト削減」の声が最も多く、

他の従業員の賃上げ抑制や一時金削減が目立った。

 

2024年は33年ぶりの5%超えの賃上げが実現したにも関わらず、

実質賃金は24年まで3年連続で連続マイナス、25年1月も前年同月比1.8%減った。

主要国で見ても日本の賃上げ率はイタリアと並ぶ最低水準で見劣りする。

30年続いたデフレ経済で日本の労働生産性は上がらず、

19~23年までの生産性の伸びは年平均0.7%程度で、生産性を引き上げが必須になっている。

 

「値上げは物価からサービス価格へ」

食材の値上がりの中で、インテージによる朝・昼・晩の食卓実態調査では、

野菜類の客離れが目立つ反面、冷凍野菜や舞茸や椎茸などの菌類が増え、

野菜炒めに使用するサラダ油も減少、鶏ガラスープの素やオイスターソースが増えている。

豚肉の中では低価格の豚小間切れの使用が増えた反面、

モモ肉や肩肉は減って食材料費の押さえが見えている。

 

値上げが顕著のコメは、長引く米価の低迷で収益が圧迫し、稲作農家が減り続けており、

現在、個人農家の約6割が70歳以上、その多くは後継者がおらず非耕作地が進んでいる。

国内のコメ消費量は1人当り1962年が118kg、2023年には51kgと半分以下に減り、

主食用コメの生産量は需要量を上回って来たが22年から逆転現象が起き、

24年には大きな社会問題になったが、生産構造が変わらないとコメ不足は続きそうだ。

 

ウーバーイーツは利用者が店頭に料理を取りに行く持ち帰り注文について、

一部の店舗で店頭価格と同じにすると発表した。

従来、持ち帰り注文はウーバーのアプリで予約・決済が出来、

店頭で待ち時間なく商品を受け取れるサービスで現状は容器代や手数料を支払い、

実質宅配料金と同程度の価格で販売されている。

物価高で家計負担を減らしていることに対し、新たなサービスで対応する。

又、ウーバーイーツは現在「まいばすけっと」で実施している「買物代行」を

人手不足に対応する為に他店にも拡大する。

 

日本の小売り・サービス業の生産性は、20年に日米欧21か国中15位で、

11位の製造業に比べても低く、日本は欧米と違ってサービスはタダという意識が強い。

商品の品質と同様にサービスのこだわりは付加価値であり、

価値観が価格にも含まれ、それが生産性の向上につながって行くことは

人手不足に悩む小売り・サービス業にとって改善の方向と言える。

 

<スーパーの惣菜・米飯・寿司>

<おにぎりセット>

*街角通信は毎週1回、配信しています。

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