節約消費と小売りの出店戦略

「コメ不足の謎」

コメ不足が言われ、小売り価格は昨年の2倍で推移している中で輸入米が話題になっている。

この状況下で民間のコメ輸入量は昨年の20倍と増えており、

輸入先は米国産が過半を占める中で、政府の関税0のミニマムアクセス米が5kg¥3500、

1kg当り関税¥341かかる民間輸入米の価格が5kg¥3000と、

関税を上乗せしても輸入米が割安だと報道された。

米国からコメの輸入拡大を要求されており、消費者物価対策の中では有効な手段となるが、

国内ではその声がまだ盛り上っていない。

 

コメ不足の影響は主食に限らず、豚や鶏といった家畜用エサのコメ価格にも影響しており、

全国にはコメをエサに使ってブランド化した豚肉や鶏肉が多く、悲鳴が上がっている。

国産の飼料用米の生産は主食用コメ不足から24年は2年で3割減少しており、

飼料用米の価格は補助金で安く抑えられていたが、値上り傾向にある。

 

コメ高騰の中で代表商品のおにぎりはコメ比率が最も高い中、

この状況を逆手にとって、ファミマとローソンはおにぎりの価格据え置きで、

サイズ拡大政策が好調で販売が伸びており、店の平均日商を押し上げている。

同社ではサイズ拡大おにぎりと合わせ、「チャーシューマヨネーズおにぎり」や

「まるでまぐろたたき丼とろたく風」など付加価値商品で売上げ増を狙う。

 

「商品開発はユーザーインで」

製粉や食用油で業界3位の昭和産業が業界の「非常識」に挑んでいる。

商品開発で「油で揚げない天ぷら粉」など、」消費者が何を望んでいるか、

お客様が望んでいることは何か、ユーザーインの発想で商品開発を進め、

家庭では天ぷらを揚げるのは後片付けが面倒との声に対して、

油を使用しない天ぷら粉を発売してヒットした。

節約消費で価格の安さを競争することから、商品価値を訴求する商品開発は重点テーマだ。

 

「小売りの戦略」

小売り各社の2026年3月期の業績予想は堅調と発表。(日経)

節約志向の中でも生活必需品を中心に個人消費は底堅いと見立てがあり、

食品スーパーではヤオコーは今期2ケタ増益予想で、

値上げによる客単価増と割引販促で客数増を図る両面戦略が効果を上げている。

 

関西において関西フードマーケット(旧関西スーパー)が

大阪市内に低価格スーパー「関西スーパーデイリーマート市岡店」を開店した。

生鮮食品の鮮度・品質の付加価値商品に定評があった同社だが、

「衝撃プライス」のPOPで価格訴求戦略を開拓する店舗は今後の注目だ。

 

中部地区地盤のバローHDは売上高1兆円目標を2年前倒しの28年達成を目指し、

関東や関西地区で出店攻勢に向け、27年4月以降に新卒1000人の採用を計画する。

24年3月期は売上高8077億円の内、主力SM事業は4542億円から約3割伸ばす。

スーパー業界には飽和感がある中で、域外進出には競合にない強みが必要になり、

同社ではPB強化に向けてドラッグを展開する子会社など7社とデータ連携して臨む。

 

スーパー業界で注目企業に西友を買収したトライアルがあり、

同社の特徴はテクノロジーを組み合わせる「リテールテック」の先進企業で

タブレット端末とバーコード読み取り装置を備えた買い物カート「スキップカート」だ。

顧客が自分で商品をスキャンして、プリぺードカードで精算する仕組みで

夕方ピーク時にレジ周りには2名でオペレーション出来るローコスト体制が強みだ。

 

スーパー業界において各社は低価格戦略に特化した店づくりに取り組んでいる中で、

低価格を武器にする為には、それで成り立つ低コストオペレーションが必須で

その仕組みを持った上で店舗開発を進めないと拡大は望めない。

 

<スーパーの惣菜・米飯・寿司>

<おこわ3色弁当>

*街角通信は毎週1回、配信しています。

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