「物価値上げで変わる消費とMD」
消費関連企業の景況感を示す「日経消費DI」の4月判断指数は
プラス17と3四半期ぶりに下落した。
トランプ関税の引き上げを巡る混乱から百貨店や自動車・ガソリンは大きく低下した反面、
スーパー・コンビニ、旅行・運輸などは上昇した。
帝国バンクの調査では4月に値上げされる飲食料品は4225品目で調味料が2034品目と最多で、
25年累計では最大2万品目の値上げが見込めているが、価格転嫁できた比率は2月で41%だ。
GW真最中で深刻なオーバーリズムが、有名観光地へ日本人が敬遠する動きが出ている。
京都では日本人観光客が2~3割減少し、3月の市内ホテルへ日本人宿泊は前年から16.1%減、
GW期間の国内の旅行者はJTBの推計では、2290万人で前年比7.2%減少する反面、
海外旅行者は前年から10%増え、明暗が分かれた。
原因は有名観光地の混雑と宿泊料の高騰が響いている。
コンビニやスーパー各社がコメ価格の高騰を受け、割高感を抑えた弁当やおにぎりの開発を
進め、ファミマは海苔を巻かずに価格を20~60円抑えたおにぎりの品目を倍増した。
「梅マヨネーズ」¥138や「梅昆布」¥140など、売上は前年を40%上回る水準で推移、
ローソンはおにぎり&麺をセットした商品6品を追加し、スーパーでも拡大している。
玉子の値段はJA全農たまごによると、卸価格は1kg¥335と24年4月の約1.5倍、
ニッポンハムグループの日本ルナはヨーグルトにカラメルソースを混ぜ込んだ
「プリンに恋したヨーグルト」を発売、プリン特有のぷるとした食感を実現、
東洋水産もフリーズドライスープの「素材の力プラントベースのかきたま風スープ」を発売、
具材は豆乳を主原料にしつつ、玉子のような形状でふわっとした食感をだした。
玉子は従来のような安価で「物価の優等生」の地位は揺らぎつつあり、
玉子に代わる選択肢が食卓で一般的になる日も遠くない。
「物価高の状況下、食品ロスの削減」
JFEエンジニアリングと外食大手は再生可能エネルギーの「バイオマス発電」で連携、
食品廃棄物の回収から再生エネ発電、電力供給まで含めたサイクルを構築する。
スシロー、びっくりドンキー、ロイヤルホスト、焼き肉キングの4社は、
店舗や工場で食品廃棄物を回収し、発行させてバイオガスを取り出し、
それを燃料に発電機を動かして電力送電会社へ、同社の電力販売会社から飲食店に販売する。
国内の外食産業では年間約148万tの食品廃棄物が発生し、これをリサイクルする意義は大きい。
小売業のシステム開発する寺岡精工は食品包装に適したガスを投入した真空包装機で、
総菜や精肉の消費期限を伸ばし、スーパーのバックヤードに置きやすい小型で、
コンプレッサーや真空ポンプの設備は不要で店舗のバックヤードに置きやすくした。
導入部門では食品ロスについて5~10%の改善につながるという。
他に軽量・包装ラベルを同時に3枚貼る機能も備えており、省力化にもつながる。
弁当・惣菜店を展開する天神屋は冷凍総菜の宅配サービス参入へ実験に乗り出した。
サービス名は「届く天神屋」で、主菜1品・副菜2品の4人前セットで、
コンニャクやナス、南瓜といった従来の冷凍だと食感が変わってしまった食材も
持ち味を生かしたまま冷凍出来る技術で、味に加え120種類の多様なメニューを加え、
1年契約してもかぶらない数を用意した。
冷凍技術を生かした弁当や総菜は食品ロス削減に大きな意義を持ち、今後も改題していく。
物価の値上がりが今後も続いて行く中で、メーカー・物流・小売りの各分野で、
利益確保の為にロスを減らし、生産性を上げる努力・工夫を続けることが重要になっている。
<スーパーの惣菜・米飯・寿司>
<5種のマグロ尽くし寿司>
*街角通信は毎週1回、配信しています。
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