「インフレが続く中で小売りの動向」
関東経済産業局が発表した関東甲信越・静岡県の1都10県、3月の小売販売の動向によると、
・スーパーの販売額が前年同期比7.8%増の6392億円、節約志向が続くものの飲食料品が好調。
・百貨店は3.7%減の2507億円、3月の寒暖差が大きく春物衣料の動きが鈍かった。
・コンビニは5.4%増の4968億円、3月後半の気温の高い日が続き飲料・アイスが好調
・ドラッグは6.2%増の3366億円、飲食料品が好調。
・ホームセンターは0.2%増の1223億円、園芸用品が好調。
内閣府発表の4月の街角景気指数は、3月より2.5ポイント低い42.6だった。
内閣府は、景気は回復に弱さが見られ、賃上げへの期待と物価上昇の影響があり、
米国の通商政策の影響などの懸念材料が多く、消費者の購買意欲は減退しているという。
日本の食料価格の上昇率は先進国の中でも突出して高くなっており、
2025年は欧米各国が1~2%程度に収まる中で日本は8%を超えた。
コメの価格高騰と食料品の値上げが大きく、消費回復に足かせとなっている。(日経)
4月の消費者物価指数は前年同月比3.6%上昇、このうち食料品が1.86ポイント押し上げた。
厚労省発表、2024年の実質賃金は前年度比0.5%減少し、3年連続のマイナスだった。
コメなどの食料品の値上げが続く中で、25~9年度の5年間に1%程度の上昇を定着させる
政府目標を実現できるかは中小企業の賃上げの持続がカギになる。
厚労省の勤労統計によると、従業員30~99人の企業の場合、24年以降所定内賃金は
おおむね3%台で推移し、12月は4.03%まで上昇していた。
政府が目標とする20年代に最低賃金の全国平均を1500円にするには年7.3%増が必要になり、
日本商工会議所が3月公表した中小企業調査では「対応は不可能」が19.7%
「対応は困難」54.8%で計74.2%に達し、生産性を伴わない賃上げは限界にある。
「個人消費の変化と小売りの戦略」
百貨店に映る個人消費景気は、増加してきたインバウンド客の消費動向に変化が出ており、
為替が円高方向に動き、高額品の買い控えが起きている。
為替が変動しても安定して伸びているのはポケモンや任天堂などのキャラクター関連で、
関西の百貨店ではガンダムショップを設けて、関西万博との相乗効果で出ている。
百貨店の個人外商は好調に伸びている中で、消費者の動きはユニクロの服を着て、
ルイ・ビィトンのバッグを持つようなメリハリをつけた消費が増えている。(日経)
ローソンは北海道稚内市内に4店舗の出店をしており、
25年に入って既存店売上は前年を超え、ローソンの中では全国屈指の水準という。
商品は旭川から運ぶ為に物流費は高くなるが、売上が高水準な為に比率は通常並みに抑えられている。
同社が過疎地への出店成果はエリアカンパニー制度があり、
その地域に詳しいカンパニーが決済するまでにスピード感をもって実施出来る。
複数店を経営するオーナーに研修するマネジメントオーナー制度で熟練したオーナーの確保、
稚内市内店舗の物流リスクに対して在庫スペースを通常の3倍に拡充して備える。
又、畳部屋のようなイートインスペースを確保して地域のコミュニテーを図っている。
アークスの子会社ラルズが展開するベーカリーコーナーが好調、
店舗で小麦粉から生地を仕込んで焼き上げる比率を高め、¥540のピザは安さと品質を両立させ
2026年2月期に70万枚を販売する計画だ。(日経MJ)
他には惣菜・菓子パン1個¥100やプルマン食パン1斤¥139などお得感を出している。
冷凍パン生地についてはバローなど3社で構成する「新日本スーパー同盟」のものを使用、
価格と焼き上げりの質感、味のバランスに優れていると人気になっている。
インフレが続く中で、スーパーやコンビニが好調の反面、百貨店は減益基調になっている。
物価高による実質賃金が増えないことによる節約消費に対し、
手作りピザやインストアベーカリーなど、味と価格を重視した商品に対して評価は高く、
消費者は商品内容に納得する価格を求めている。
<スーパーの惣菜・米飯・寿司>
*街角通信は毎週1回、配信しています。
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