「インフレ経済と小売り・飲食業動向」
コメなど食品の値上がりが続く中で小売り・飲食業の4月業績は、
・スーパーマーケット3協会の発表では、既存店売上昨年比は101.8%、惣菜は102.6%、
・日本百貨店協会発表の既存店売上昨年比は95.5%、食料品は101%
・日経MJまとめの主要外食の既存店売上は24社が前年実績を上回った。
特に、サイゼリア・松やフーズ・スシロー・ハイデン日高や王将は2桁の売上増だった。
商品の値上げにより客単価はアップするが、客数を落とす企業が多い中で、
上記企業は客単価と客数は昨年を上回る中での既存店売上の増だった。
「値上り代表のコメ対策が進む」
2025年上期はコメの値上がりに対して政府・民間で対策が進み、一定の値下がりが
見られたが、今後に対して割安な東南アジア産米の輸入が広がって来た。
ベトナムの食品大手タンロングループは、2025年に前年比4.4倍の2万tベトナム産米を
日本に出荷し、神奈川の食料品店では¥3200で販売、イオンは米カリフォルニア産と
ブレンド米を4kg¥2894、西友は台湾産の取り扱いを始め5kg¥3769など始まった。
現在、備蓄米の随意契約は5kg¥1980(税抜き)で放出されているが、
今後は一般小売りや自治体から直接販売など、コメの流通が広がって来た。
コメ原料の主力おにぎりの販売について、コンビニ各社は対策商品を発売、
・ローソンは2023年産コメを使ったおにぎりを税抜き¥120(梅・塩)ヴィンテージを発売、
又、冷凍おにぎりの取り扱いについて、価格を1~2割抑えて2026年度までに
全店に拡大する。冷凍おにぎりは作り置きや店舗への配送頻度を減らしやすく、食品ロスや
コストダウンが可能になる。
・セブンイレブンは全体の6割に当たる商品を税抜き¥100に値下げする。
6月11~14日、¥170以下のおにぎりを対象に販売、¥171以上¥¥200のおにぎりは¥150,
¥201以上のおにぎりは¥200に値下げして販売する。
・ファミマは購入頻度の高い顧客を対象におにぎり割引回数券を販売する。
「ローカルスーパーの戦い」
スーパーとドラッグが食市場を狙って協業・業務提携が進む。
ドラッグのツルハとウェルシアはは経営統合して、イオンとの協業の中でトップバリューや
生鮮食品の取り組みを強化し、食品の売上構成比を上げて対応する。
競合関係が激しくなっている北海道において、イオン陣営と対抗するコープさっぽろは
サツドラHDと業務提携し、食品系の仕入れはコープさっぽろ、非食品系はサツドラが
主に担当し、物流はコープグループが主体となって運用する。
アークスはサンドラッグと共同出資会社でアークス店内にドラッグを展開し、
HCのカインズとフランチャイズ契約を結び、アークス傘下のラルズで展開する。
新潟地盤・原信のアクシアルは長野県内に出店拡大に向けて、取引先の物流センターを
設けて配送体制を整える。
同社の提案型スーパーの特徴を出した店づくりで他社と差別化を図り、
長野県内に10店舗ほどの出店を計画し、更なる広域エリアへの進出につなげる。
同社の25年3月期の売上は2778億円、1店当り平均売上は21億円だが、
長野県内の既存店舗の1店平均売上は28億円で、全体よりも好調で売上げチャンスは大きいと
見る。
インフレ経済が強まる中でスーパーの業績は全体に順調だが、これは商品単価の値上がりに
寄与している面が大きく、店舗間競争で客数を伸ばして売上好調の店舗は少ない。
商圏の縮小・商圏人口の減少が進む中でシェアを確保していく為には、
消費頻度の高い食料品を中心に日用品や雑貨などの取り扱いを広げ客数の拡大を図る。
その中で、客単価を上げながら客数を維持できるMDが重要になっている。
<スーパーの惣菜・米飯・寿司>
ローストビーフ&サーモン尽くし寿司
*街角通信は毎週1回、配信しています。
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