「コメ高騰で変わる小売りMD」
民間調査会社まとめた購買データ分析によると、
食品スーパー、ドラッグの4月コメの売上高は前年同月比約2倍となり、
物価が上がる中でコメの価格上昇が浮きだっていることが改めて裏付けされた。
売上個数は食品スーパーが12.9%増、ドラッグが8.7%増にとどまっており、
その他主食食品の金額でマカロニが15.5%増、スパゲティが14.9%増、個包装餅は12.4%増だった。
主食に加えてタンパ気質が摂取できる商品として、魚肉ソーセージ16.5%増、黄粉15.8%増と
今後値上げが予定している食品数は5月末時点で1万6224品目あるという。
百貨店各社で中元商戦が始まり、各社は身近な人へのギフトや自分へのご褒美品として、
例年以上に人気が集中しているのがコメで、東武池袋店は数量限定でコメを販売、
商品によっては前年比5~8倍の伸びが見られた。
西武はコメを販売しない一方、ギフト1万5千円いじょう購入した顧客に
先着1万人に長野県産コシヒカリ300gを提供する。
政府が随意契約で売り渡した備蓄米の流通は首都圏や近畿圏に偏っており、
小売り各社は6月以内に全国販売を進める計画を示している。
農林省が発表したコメの平均価格は¥4223と、7か月ぶりに2週連続で下落したが、
新米が出始める8月までは¥4000を切ることは難しそうだ。
「食資源の減少と開拓」
世界の魚食需要拡大の中で、チクワやかまぼこなどの主原料のスケソウダラのスリ身が、
足元の価格では5年前に比べ4割高く、大手の紀文は9月の値上げを予定している。
2025年春漁で獲れたスケソウダラすり身は上級品が1kg¥800と前年秋漁より8%上昇した。
低脂肪高蛋白質であることから、景気に左右されず需要があることから海外からの買付競争
で相場は上昇している。
白身魚の定番にナマズの仲間、バンガシウスの輸入が急速に増えており1万tを超えた。
白身魚フライや寿司、給食などとして食卓に浸透しており、くら寿司は「活〆バンガウシス」
として1皿¥115で定番メニューになり、今後ヒラメやカレイのような白身魚の仲間になる。
日本の輸入量は24年に1万686tと前年比4割増え、スケソウダラを25年にも逆転しそうだ。
バンガウシスの特徴は供給と価格の安定感で、餌は大豆カスなどの植物性でコスト的にも有利
になっている。
浜松市の下水処理場を運営する「西遠浄化センター」は養鰻養殖事業を始めた。
下水処理で生じる熱で温水を水槽に送り、効果的な生育状況を研究、
浜名湖の鰻養殖の知見を生かして養殖業の新たな可能性を探る。
同事業では「温水流し方式養殖」を採用し、鰻の排泄物が混じった排水は下水処理の
余剰能力で処理する為、養殖水槽の清潔環境が維持される。
丑の日が近づく中で、ウナギ料理専門店でメスのウナギの活用に注目が集まっている。
ウナギのメスは希少性が高く、餌に大豆イソフラボンを与えることでメスを養殖でき、
メスウナギは大きくふっくらとした肉厚が特徴から、今後全国の専門店で広がる見通し。
サイズはオスの2倍近い1匹400~500gに成長しても身は柔らかいという。
25年ウナギ稚魚の価格が前年比5割下がって取引されており、今年の丑の日には間に合わない
が、秋ごろから鰻蒲焼の価格は確実に安くなるとの声が多い。
「小売りの進化」
食品スーパー「ロピア」が新潟市内で北信越エリアの1号店をオープン、
HCのアークランズによるフランチャイズ契約による店舗で「ムサシ新潟店」に出店、
日本海側の海産物や食材の開発を進め、出店数を増やす方針だ。
ロピアは現在、アークランズが神奈川県のHCに出店しており、SMとHCの共同出店が
一つの出店パターンになり、SMにとって地場の食材を生かした商品づくりに生かす。
コンビニミニストップはFFと生鮮品を組み合わせた「ニューコンボストア」を
都内で1号店を開店し、平均日販は全国平均の2倍弱で推移しているという。
得意の店内調理のファーストフードを加え、野菜や肉を充実させる。
規模は標準店より広い180㎡で従来のミニストップに小型スーパーの機能を加えて開店した。
同社のグループには小型SM「まいばすけっと」があるが、
ファーストフードやスイーツを増やし、店内調理を強化して差別化を図る。
物価が高騰する中で随意契約備蓄米の放出は、消費者の物価に対する関心度の高さに
大きなインパクトを与えた。
地球上の食資源は確実に減少し原材料価格は高騰していく中で、
食資源の開発や流通段階でコストダウンできるチャンスは残っている。
<スーパーの惣菜・米飯・寿司>
<上握り>
*街角通信は毎週1回、配信しています。
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