「7月丑の日を目前にして明暗」
イオンは丑の日に国産のメスウナギ蒲焼を販売すると発表した。
メスウナギを販売するのは初めてで、サイズが大きくてもふっくらとした肉質で固くないのが
特徴で、餌に大豆イソフラボンを与えることでメスウナギを育てることが出来る。
同社では125g¥2480、予約販売では190g¥2780で販売する。
鰻についてEUは絶滅危惧種として、ワシントン条約に掲載することを提案した。
もし採択されれば、日本への輸入鰻は出来なくなり、丑の日を含め大きな被害が予想される。
24年の鰻国内供給量は6万3千t、その内7割を活鰻や蒲焼として中国から輸入しており、
残る3割は国内養殖だが、稚魚の半数は中国からの輸入に頼っている。
豊洲市場の鰻蒲焼平均卸値は1kg当り¥4500前後だが、採択されれば価格上昇は避けられない。
次回のワシントン条約締結会議は11月24日~12月5日にウズベキスタンで開催される。
「コメ高騰の業績予想と対応」
コメなどの食材価格の高騰が外食の業績に影響を与えており、各社は割安な政府備蓄米を
使用したり、コメを使わないメニューを増やしたりして利益の確保を狙う。
外食チェーンの減益影響は24年の2倍超に膨らみ、減益幅が拡大すると見ているが、
外食各社は配膳ロボの導入や食材加工の内製化などのコストダウンを進め、
主力64社は25年度の営業利益は約10%増える見通しという。(日経)
小売業でも対応を進めており、ファミマはファミリーペイ会員に対して月間の来店数と
買物金額に対して顧客を4段階のランク付けをして、最上級のアンバサダー会員には
おにぎり割引回数券を5000セット配布、1枚当りおにぎり¥100引きで販売する。
今後はパンや中食にも割引を拡大して顧客の囲い込みを狙う。
ファミペイ会員の場合、非会員の来店客に比べて毎月の平均購入額は1.5倍ほど大きいという。
コメの高騰の中で民間のコメ輸入が急拡大しており、
主食用コメの輸入は5月に1万tを突破して前年の月平均から126倍に膨らんだ。
コメの輸入は関税ゼロのミニマムアクセス米が77万tあり、最大10万tが主食用、
枠外の輸入は1kg当り¥341の関税がかかるがそれでも割安感があり、
5月の輸入は1万605tと単月で1年分の輸入量を超えた。
イオンは米カリフォルニア種の「カルロース米」を4kg¥2680で販売する。
「小売りの差別化戦略」
インフレや物価高が続き、消費者の生活防衛意識が高まる中で、
「ゲンキ―」を運営するドラッグストアでは、粗利益率を引き上げない戦略で出店を強調する。
同社では食品スーパーが付加価値を付けた惣菜や季節商品など「グルメ化」を
進めているとし、日常使いがしにくくなっている中でゲンキ―は低価格を徹底し、
スーパーで「同じ物を買うならばゲンキ―のほうがお買い得だと認知されてきた」という。
スーパーが離れた日常需要の隙間に入り込み、顧客を掴んでいく戦略だ。
コンビニローソンは省人化を進める中で、KDDIの技術指導を受けAI活用の店舗を開店、
バックヤードでは飲料の陳列をアーム付きロボットが動きまわり、
人気の「からあげクン」もロボットが自動調理し、揚げ上がると店内のサイネージに表示し、
熱々の出来上がりからあげクンをアピールする。
同社は売場をデジタル技術で効率化する「リテールテック」で海外への展開も視野に入れる。
九州発DSのトライアルは研究開発拠点の「DXタウン」で大学のような講義室で、
小売りに係わるメーカー関係者と流通の技術革新を促す場として毎月1週間実施している。
あらゆるものがネットにつながる「IOT]技術やAIの研究を集約し、
名メーカーがトライアルの店舗でデジタルサイネージに流すコンテンツを作成する。
トライアルの店舗データから個人を特定しない範囲で購買特性を抽出し、
年齢層や性別、特定商品の購入量やリピート率、来店頻度の多い日などを細かく分類し、
このデータをメーカーに公開してより的確な商品開発につなげていく。
インフレや物価高の時代になり、商品計画は従来のワクから脱皮することが求められ、
その為にどのような技術やコンテンツが必要になるか、
サービス業であれば主役はお客様であり、お客様にとってどんなメリットがあるのか、
そのメリットを感じてもらうことによって店舗は成長・継続できる。
<スーパーの惣菜・米飯・寿司>
<イワシ蒲焼重>
*街角通信は毎週1回、配信しています。
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