「景気ダウンによる消費の影響」
日銀公表の6月短観では製造業の景況感は改善したが、
米国の相互関税の影響を反映して自動車を中心に製造業は悪化した。
非製造業はインバウンド需要が高水準を維持しており、小幅の悪化に留まっている。
家計消費は物価高の影響を受けており消費に変化が出ている。
家計調査では生活防衛が肉の消費に大きく影響を与え、
2人以上世帯消費支出は31万6,085円、実質で前同月比4.7%の増加をした。
肉への消費では鶏肉が3カ月移動平均で前年比3.3%上昇、
牛肉が5.1%減少し、家計は牛肉や豚肉の購入を減らし、鶏肉の購入を増やしている。
JTBは25年の夏休み期間の海外旅行者数が前年比21%増の244万人になると発表した。
JTBが7月15日~8月31日出発の消費者アンケートや航空会社の予約状況から予測、
海外旅行者の平均費用は28万9000円と5.5%上昇するが、コロナ前の19年には及ばない。
お盆を含む8月の連休は9日(土)~11日(月)山の日の3連休、13日~17日(日)までの
5連休が予想される中で、海外旅行を含む国内旅行は昨年以上の増加が見込まれ、
スーパーなど小売店の動向は期待薄の可能性が高い。
「25年賃上げによる企業の変化」
連合は25年春季労使交渉の集計を公表し、賃上げ率の平均は前年より0.15%高い5.25%と
24年に続き5%を上回ったものの、中小企業に限ると4.65%だった。
ベアの平均は0.14%高い3.7%で、集計を始めた2015年以降では最も高かったが、
毎月の勤労統計では4月の実質賃金は前年同月比2.0%減の4か月連続のマイナスだった。
飲食業界のデータ分析のナウキャストによると、
5月の飲食・フードのパート・アルバイトの求人数は前年同月比22.6%減少した。
賃金水準が高まり人員を思うようには増やせていなく、
主要各社は配膳や注文を機械が担う省力化投資を急いでいる。
人員募集時の時給は高水準が続き、5月は前年比4.9%上昇しており、
生産性の向上を図る為に、肉体労働はロボットへ頭脳労働はAIに振り返る動きが広がる。
飲食は25年1~3月の売上高の内、人件費率は24.5%を占めており、
同様な動きは運輸・物流でも見られ、人手不足による賃金上昇の圧力が、
企業による省力化投資を後押ししている。
「食品スーパーの動向」
九州発のDS店、トライアルは2日に西友の買収が完了したと発表した。
今後首都圏の西友の店舗周辺に「衛星」のようにトライアルの小型店を出店し、
両社の店舗から集まる購買データを解析し、マーケティングなどに生かす。
大消費地の攻略に向けて、PBや惣菜を供給して一体戦略を進める。
25年6月期のトライアルHDの売上高は12%増の8029億円を見込み、
西友単体の売上5515億円を加えると1兆3000億円の事業規模になる。
西友は首都圏を中心に240店を構え、西友の既存店が母店の役割を担ってトライアルに
生鮮や惣菜を配送する計画だ。
中四国で食品スーパーを展開するフジは、イオングループのPB「トップバリュー」の
販売を強化し、同社はイオングループでのスケールメリットを追求する。
物価高が続く中で「価格は一番分かりやすい価値」として、足元では9%のPB比率を
長期的には30%程度まで拡大する戦略。
25年2月期の営業利益率は1.6%に対して、今後は利益率の少ない商品を減らすなど、
商品カテゴリーごとに構成を見直し、デジタルに投資、レジの無人化や自動発注化を進める。
実質賃金が伸びない中で、パート・アルバイトを含めて賃上げは続く。
飲食・小売業は売上を維持し、生産性を伸ばす戦略が求められる中で、
頭脳労働はAIを活用して効果を上げ、肉体労働はロボットの活用が重要になって来た。
人は接客や心のサービスで付加価値を上げ、顧客満足度の向上を図る。
<スーパーの惣菜・米飯・寿司>
<国産鰻重>
*街角通信は毎週1回、配信しています。
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