食資源の確保

日本の食料自給率は永遠の課題であり、国内の農業・漁業・畜産に係わる企業が取り組んでいる。

今年、日本海ズワイカニの収穫量が増加、鳥取県や兵庫県は前期比1割増、石川県も同2割増えたことで、単価も1~2割安くなった。毎年11月、北陸から山陰の日本海側で漁が解禁され、鳥取や島根県では「松葉ガニ」、京都府では「間人ガニ」、石川県では「可能ガニ」など、各地にご当地ブランドがあるがいずれもズワイカニだ。

カニは出荷サイズに育つまで10年以上かかり、日本海側の漁師と研究者や自治体では毎年カニの生態や資源状況を共有し、自主的に小さいカニを逃がしたり、禁漁区を設けたり厳しい遡源管理を実施して来た結果が今年の成果につながった。

日本各地で養殖サーモンの水揚げが最盛期に入っており、サーモンは年々養殖業者が増えて2025年は前年比10カ所多い147カ拠点で育てている。ご当地サーモンが激戦となる中、生産者はレモンやイチゴなど独自の餌を配合したり、近隣産地と資材調達で協力して競争力を磨いている。

運営するBKTCは養殖魚の餌に陳皮やナツメグなどの薬膳食材を与えた「薬膳サーモン」を育てる。3月末、瀬戸内海で「広島レモンサーモン」の水揚げが始まり、広島県で採卵し、孵化した稚魚に広島レモン果汁を餌に育てた。

イスラエル新興のフォーシーフーズは京都に培養ウナギのパイロットプラントを設置する計画で、資金調達を進めている。(日経4月10日)現在、日本には細胞性食品などを審査するルールがなく、既に承認制度があるシンガポール向けに2027年に輸出する計画だ。

細胞性食品は、動物から採取した細胞を培養液が入った容器で増殖させ、増やした細胞を原料につくる。家庭用の土地や餌などを使わない一方、現在生産コストは高いが、同社の培養方法は細胞自体が自然な肉の3次元構造を形成する為、生産工程を簡素化できるなどコストダウンが見込めるという。

日本の人口は減少するが、世界の人口は増加する中で食料不足は価格の高騰につながり、輸入価格も値上がりする。この状況下、国内を含め世界で食料資源確保にテクノロジーの活用した対策が進行しており、今後ビッグビジネスの可能性は大きい。

<スーパーの惣菜・米飯・寿司>

<サーモン尽くし寿司セット>

 

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