値上げの売価設定方法  

2023年7月2日

「百貨店・外食はコロナ前に」

日本百貨店協会がまとめた5月の既存店売上は前年同月比6.3%の増、

売上はコロナ前の19年5月と比べ、95.1%の水準まで回復した。

円安や外国人の入国制限が緩和され、インバウンド消費は

前年同月比の3.5倍に膨らみ、19年比では67.8%まで持ち直し、

今後は中国人客の回復に期待している。

 

日経MJがまとめた主要外食33社の既存店売上高は

9割に当たる30社で前年同月を上回り、ファミレスは4社全てで増収を確保した。

すかいらーくは既存店売上高が14.6%増で、19年比93.9%まで持ち直した。

主要外食の中で、前年割れは安楽亭、スシロー、幸楽苑の3社だけだった。

 

「変わる客・働き手確保」

5類に移行した後の居酒屋業態の動向についてワタミの渡辺社長は、

「コロナ前を10~20%上回るのは今の市場トレンドでは難しく、

一番大きいのはライフスタイルの変化で、午後10時以降の深夜帯の需要と宴会がなくなった。

すると1人当りの単価を上げざるを得ない中、付加価値メニューを増やしていく。」と語った。

 

良品計画は2024年8月までに社会経験者を約200人採用、

ニトリHDは退職した社員を再雇用しやすくした。

コロナ下で滞っていた新店に舵を切り、新店立ち上げに必要な人材を

採用の工夫で即戦力を確保する動きが小売業で広がっている。

 

国は期間限定だった外国人労働者の受け入れを、永住に道を開く長期就労型に転換する。

在留資格「特定技能」で期間の上限がない業種に食品製造や外食など

9分野を追加すると決定し、全12分野で定住する道が制度化される。

技能実習を入口に特定技能1号、2号へとステップアップすれば、

家族帯同や定住・永住が可能となり、社会保障を支える担い手にもなる。

特定技能者に技能実習者を合わせると50万人近くになる。

 

厚労省の最低賃金審査会は2023年の最低賃金引上げに向けた審議を始め、

政府が掲げる「全国最低賃金1000円」を実現するためには、

初の4%台の賃上げ巾が必要となる。

2022年の最低賃金は961円で、1000円にアップするには39円以上の賃上げが必要になる。

日本が時給1000円を達成しても、各国との開きは大きく、

22年の英国が1400円、フランスは1385円、米国はワシントン州では2000円になる。

 

「値上げの2極化」

帝国データバンクは7月の主要メーカー195社が3566品目の値上げをすると発表、

1~10月では2万9106品目となり、2022年を1割上回る。

山崎製パンは7月から食パンの価格を平均7%引き上げ、その他各社も一斉値上げする。

サトウ食品はパックご飯を5年ぶりに8~10%値上げする。

価格転嫁できている企業にコスト上昇分を聞くと、「8割以上」は12%にとどまっている。

 

日本マクドナルドは値上げについて、賃料や人件費、立地に応じて価格を変えており、

空港などの「特赦立地店」「都心店」は通常店より価格を高く設定、

「準都心店」は通常価格より10~30円高く設定し、国内の8%にあたる。

又、自社宅配の商品についても値上げ幅は10~110円にすると発表した。

 

くら寿司が運営する高級回転すし「無添蔵」は、

付加価値商品に力を入れることで美味しさを求める消費者の来店を促し、

「地中海本マグロ」¥550や「極上ボタンエビ」¥550など

節約志向の高まりで外食機会が減っている中で、商品価値を高めることで差別化を図る。

 

調査会社のインテージは小売業向けに商品の価格設定を支援するサービスを開発、

同社が蓄積した全国6000店舗の販売情報から、

最も粗利が大きくなる価格を算出し、利益率の向上につなげる。

サービスでは顧客企業のPOSデータとインテージの販売情報を合わせ、

過去の販売動向と価格の相関性から値上げしても販売数が落ちない商品や

値下げして販売数が伸びる商品などを割り出し、データを提供する。

 

「原料の値下がり」

外食店や小売店が使う業務用の食用油が6年半ぶりに値下がりした。

食用油は加工用、惣菜店で使用する業務用、スーパーで販売する家庭用がある中、

業務用の卸価格は1~3月ごろと比べ、300円程度の値下がりし、1缶¥6900前後になった。

原料となる大豆や菜種の国際相場安も値下がりを促している。

 

値上げが定着してくる中で、

商品ごとに値上げしても売上が落ちない商品や値上げ幅など、

利益率を最大限にする為、商品ごとに価格設定が変わって来ている。

その商品にどんな付加価値がるのか、商品の価値観によって売価設定が変わる。

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