低成長期における三つ巴商品政策

2023年7月23日

「値上げ下の賃上げ、消費を支える」

食品や日用品の値上がりが続いている。

POSデータに基づく日次物価の上昇率は前年比で6月28日時点、8.7%となった。(日経)

昨年秋以降に業界大手が値上げに踏み切り、中堅企業が追いかける「付随値上げ」が広がる中、

23年6月には生鮮卵が42%、水産缶詰が21%の上昇など幅広い商品で2桁の値上げが見られた。

 

一方、2023年の夏のボーナスは全産業平均支給額は前年比2.6%増で、

前年の伸びよりは落ちたが、金額では89.4万円と2年連続で過去を更新した。

製造業は前年夏比0.82%と停滞したが、

非製造業は前年夏比9.96%増、百貨店・スーパーは6.3%増となった。

又、23年の平均賃上げ率は3.66%並みか、それ以上の賃上げ水準に達しそうな勢いだ。

 

「リベンジ消費で小売り業績は好調」

メーカー値上げによる小売り単価は上昇し、営業益は上向いており、

23年3~5月期の小売りやアパレル84社の決算発表では、

日経データによると売上高は8%増で増収企業が全体の7割に上った。

スーパーも39%にあたる47社で売上高がコロナ前の水準以上となり、

業界全体では昨年より13%ほど高まった。(日経)

 

小売業の業績回復の背景にあるのは賃上げで、実質賃金は低下傾向にあるものの、

企業は値上げをしやすくなっており、客単価が伸びている。

日経調査の396社で売上ベースでの客単価は全体の62%の企業が「増加した」と回答、

一方、客数は全体の41%にあたる企業が「減少した」と回答しており、

増加したと答えた33%を上回り、値上げ環境下の販売戦略で差が出ている。

 

「経済低成長期の商品政策」

2023年の日本経済は低成長とインフレが併存するとの見方が強まる。(日経)

内閣府まとめの23年度のGDPは1.3%と昨年末から0.2ポイント下方修正され、

物価の伸び率は2.6%と上方修正された。

GDPの過半を占める個人消費は物価高を受けて1.6%増と、昨年末より0.6%下方修正した。

 

経済の低成長期を迎えてスーパー業界では、首都圏スーパーのいなげやがイオンの傘下に入り、

全国各地においても再編の気運が高まっているが、

食品スーパーはこの先、企業の規模で再編されていくのだろうか。

日経によると北関東地盤のアクシアルリテリングが、21年秋に新潟県魚沼市内の商圏(2km)人口7千人に

開店した店舗は年商目標16億円に対し、18億円までになっていると報じた。

「同社では地方でも大都市でも情報量は変わらない。

減塩などの健康対応商品や環境対応など価格以外の訴求力が必要だ。」と話している。

 

その他の地域スーパーにおいても価格が安いだけでは売れない、

素材などを厳選し、NBと同等品品なら割安感を出せる商品の開発強化や

原材料調達から加工、販売まで一貫して手掛けて、利益を出せるMD計画を強化する流れが起きている。

 

食品スーパーは経済の低成長期下において、お得感のある商品の品揃えを打ち出しながら

他店と異なる商品訴求をしつつ、収益力を高めるMD計画を強化する三つ巴政策が重要になっている。

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