「黒字倒産の現実」
内閣府発表の12月街角景気は判断指数DIが11月より1.2ポイント上回る50.7だった。
上昇は5か月ぶりだが、新型コロナの5種移行後で初の年末を迎え、
忘年会の回復や集まり需要が増えたことが挙げられる。
家計動向関連は50.7,サービス関連は53.1,飲食関連は58.8と高い伸びとなったが、
2~3か月後の先行き指数は49.1と下げになった。
2023年9~11月期の外食企業の決算は19社中18社改善した。
コロナ禍の影響を脱したことによる客数増だけでなく、
値上げによる客単価アップの両面からの改善が大きい。
又、円安による原材料の輸入コストの伸びが一服したことも利益増につながった。
コンビニ大手3社の業績が伸びており、9~11月期のファミマの連結利益は29%増、
ローソンは36%増と過去最高、セブンイレブンは7%増の1990億円。
今後の消費動向についてコンビニ各社は、
消費者の高齢化に伴い買い物範囲は狭まり、コンビニの位置机は大きくなると見ている。
一方、20233年の小規模企業の倒産数は8292件と前年比36%増となり、
コロナ禍の政府の資金支援で生き残って来たが、
物価高と人手不足で経営が維持できなくなったケースが目立つ。
背景には人を集める原資に乏しく、
十分なサービスや商品を提供できない悪循環につながっている。
24年は物価は落ち着く変わりに、人手不足は深刻で倒産件数は1万件を超えると見られる。
「物価上昇の主役交代」
12月の企業物価指数は前年同期比0%とほぼ上昇はない中、
消費者物価は生鮮を除くと2.3%の上昇に鈍化、
サービス価格は2.3%のプラスの4半年連続の2%増で、公共サービスを除くと3.1%増になる。
24年度のサービス価格上昇は2.8%が見込まれ、
25年度は1.7%に落ち着く見通しが報告された。
人手不足による人件費の上昇の影響を受けてサービス価格の値上がりにつながり、
値上りは物価からホテル・飲食などサービス価格に交代予想に変わって来た。
食料品の値上げが勢いを和らいできた中、
国連食糧農業機構(FAD)は食料価格指数は直近10月時点で
22年3月の過去最高値から25%下がったが、19年末比では4割高い。
23年は世界で最も乾燥した年となり、
米農務省は米国の23~24年度大豆生産量は前年度を3.3%下回ると見る。
日本は9割を輸入に頼る影響は大きく、今後の気象変動は大きな火種になるという。
「商品単価アップから販売点数増対策」
値上げが客単価アップに大きく寄与した23年から
24年は値上げが落ち着き、商品単価の伸びがなくなると予想する中で、
売上を上げる重点は販売点数をいかに伸ばせるかがカギになってくる。
販売点数アップには安く売ることから、商品価値で売ることに方向転換し、
PB商品についても価値観を打ち出した商品がポイントになっている。
事例として¥100おにぎりからコメ・具材を特徴にした手作りおにぎりが主流になり、
おにぎり専門店からコンビニ・スーパーへと変化は起きている。
羽田空港の建物内にあるおにぎり店舗では、ランチ時間帯には10人以上が並んでおり、
工夫を凝らした具材20種以上のおにぎりを販売して、
梅や鮭の定番の他、筋子やカルボラーナなど幅広い具材から選べる。
コメは新潟産コシヒカリを使用し、握り方も優しく手で押さえる程度で、
1個¥400から450で弁当と変わらない。
スーパーの惣菜はPB商品であり、各社は惣菜のセンター製造に力を入れている。
その一環として自社の惣菜センターを強化して差別化を進め、
店舗では製造効率化を進めるには限界があり、
店舗をカバーするセンターでは商品運搬に自動搬送車を使い、
焼肉や焼魚の調理には加熱水蒸気調理を使用し、冷却には加圧冷却を活用するなど
品質と製造の効率改善を追求する。
販売点数アップはお客様から指定される商品づくりが求められ、
売場では商品のこだわりをPRして、お客様に違いを理解して購入してもらう。
価格は商品価値に見合ったもので安さではない。
<スーパーの惣菜・米飯・寿司>
<鬼の金棒いなり>
*街角通信は毎週1回、配信しております。
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