「客単価上昇、小売り決算が好調」
小売最大手のイオン今期の連結営業利益は前期比14%増の2400億円予想を発表した。
4年ぶりに最高益を更新、物価高の中で節約志向を捉え、
PB商品の販売が伸び、従来予想から200億円上方修正をした。
一方、GMS事業部の営業利益は12億円の赤字、
食品スーパー事業の営業利益は約3倍の218億円、
DS店事業の営業利益も約5倍の60億円になった。
コンビニローソンの今期の連結純利益は前期比68%増の500億円の見通しと発表。
売上に当たる営業収入は9%増の1兆900億円で100億円の上方修正、
利益率の高い店内調理の「まちかど厨房」の販売が好調で
既存店の客数は4.1%増、客単価は0.5%減、売上は3.7%増と堅調。
小売業主要79社の2023年9~11月期の内、
6割強の企業で営業利益が前年同期比で増え、値上げとインバウンド需要が追い風となった。
営業利益を押し上げた要因として
・訪日客需要の取り込みは百貨店に大きなプラス要因となり、
・値上げは6~8月期よりも鈍ったものの、幅広く浸透した。
・コロナ禍から経済が戻りつつあり、消費者の外出機会が増えて需要につながった。
実際の消費行動に比べて物価を考慮した実質消費は伸び悩んでいて、
足元の生活必需品を中心に生活防衛の行動が見られる。(日経)
「デジタル投資を急ぐコンビニ」
セブンイレブンは公道で配送ロボットを使った実証実験に乗り出した。
昨年末にかけて住民の高齢化が進む東京都八王子市の一部地域で実施、
最寄り店から最短30分で商品を届けた。
夜間などは配送員が集まりにくい地域もあり、
ロボットを活用することで持続的配送サービスを模索する。
現在国内約9000店舗で導入しており、配送料330円を払えばサービスを受けられる。
コンビニ各社の既存店売上は10月まで20か月連続の前年同月比プラスとなった。
セブンイレブンの永松社長は
「高齢化が進み自宅から1km圏内の商圏が買い物の中心になり、
コンビニの役割は今後も増していく。」
「人口減少の中でも重み増す食料確保」
政府は2100年に人口が半減し、6300万人程度になると発表、
民間有識者でつくる「人口戦略会議」では少子化対策で8000万人で安定させる目標を掲げた。
そのためには、
出生率を現在の1.26から40年年には1.6,50年には1.8に引き上げる必要がある。
人口減少はGDPの縮小につながる要因になるが、
少子高齢化の中で国民1人当りの経済を運営する選択肢を会議では求めた。
神奈川県相模原市のフードエコロジーセンターには
1日に35~40トンの食糧が運び込まれ、年500トンが捨てられている。
日本は衰える国内食料生産を補うために、安い食料を大量に輸入し、
安すぎる食品を残して捨てるゆがんだ生産と消費の循環を変えるところに来ている。
日本の農業生産者の1人当りの付加価値額は約260万円、
1991年以降でほとんど増えてなく、韓国やギリシアにも抜かれている。
農業人口が減少して食料生産が減っているにも関わらず、
日本の食品価格は上がらず、大量の食品が捨てられている。
日本の物価と賃金が上がらないデフレ経済が続いてきた中で、
値上げの先頭に立ってきた大手食品の味の素、藤江社長は
「日本はあらゆる価格が安すぎ、値上げしたら謝るのは日本くらいで、
コストを下げる努力をしながら補いない部分を価格に転嫁し、
価値に見合った価格にすることが大切だ。
物価高は自らの価値を問い鍛える好機で、メーカーは価値を出せないと下請けになる。
値上げしても買い続ける愛着の強い人と、安くそこそこの品質で良い人に分かれる。
松竹梅で高い価値を価格に反映できる「松」と
生産効率を高めて低価格でも利益が取れる「梅」の両方を開発する力が要る。
値上げと賃上げはセットで、
賃上げは3%の物価上昇と2%の定期昇給の計5%が出発点になる。」
今、日本に求められる賃上げとその原資をつくる値上げは製販共に取り組む最大とテーマである。
<スーパーの惣菜・米飯・寿司>
<25種の恵方巻>
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