低成長下の商品開発

2023年7月21日

22年度の小売業は総じて好調で、上場企業は増収増益が多く業績の持ち直しが見られ、

スーパーは4割弱の企業がコロナ前の水準以上となり、昨年より13ポイントほど高まった。

要因として全店ベースの客単価が全体の62%の企業で上昇し売上高を伸ばした半面、客数は22年度減少したと答えた企業は40%以上に上った。

 

内閣府まとめの23年の実質経済成長率は1.3%と昨年末から0.2ポイント下方修され、物価の伸び率は2.6%と上方修正され、個人消費も昨年12月の見通し2.2%から1.6%と日本経済はコロナ収束後も低成長が予想されている。

食品や日用品の店頭価格は日経POSデータに基づく日次物価で、6月28日時点は前年比8.7%となり、昨年秋以降の業界大手は価格改定に踏み切り、中堅企業などが追いかける「不随型値上げ」が多くの商品に広がっている。

 

値上げが進み消費者の中で「値上げ疲れ」が広がる中、PB商品やディスカウントストアなどが節約志向を捉えて売上を伸ばしている一方、セブンイレブンは健康を意識したブランドの新商品を発表した。三井物産と連携して植物繊維を多く含む飲料やゼリーなど、100円台から手ごろな価格に設定し、心身の健康や幸福を目指す「ウェルビーイング」が注目する顧客の購入を促す。ブランド名は「Cycle meサイクルミー」でこのような商品を増やすことで新たな顧客ニーズを取り込む。

 

セブンイレブンは京都の老舗米屋「八代目儀兵衛」の、コメ独自のブレンド技術に目を付け、

全国の店で年間扱うおにぎりについて、地域のブランドを数%のブレンドによるおにぎりの開発を始めた。儀兵衛の知見では美味しいお米はツヤや白さ、香りなど7つの評価項目がある中、最も重要なのは「甘さ、のど越し、ツヤ」の3指標で、他の2倍の評価点数を配分してデータベース化している。同社ではこのノウハウをおにぎりから始め、次には弁当や丼ものに広げていく計画だ。コメの味・品質は毎年の気候や温度によって変わってくるため、

地域のブランド米からコメのブレンドを重視する。

 

顧客の価格による選択には限度がなく体力勝負が決め手になるが、味・品質の選択には

企業のノウハウが決め手になる。低成長下の経済において、店間の差異化は商品の味・品質によって行われる。

コメント

タイトルとURLをコピーしました