「賃上げ、30年の転機」
2024年の春闘を迎え、賃上げが満額回答やそれ以上の賃上げが出てきている。
日本の企業はバブル崩壊後の「失われた30年」の間、賃金を抑制して景気悪化対策をしてきたが、コロナ下を経て世界の企業と対抗する力と人材強化に踏み切った。
企業が貯め込んだ内部留保を人件費に回す方向性が広がり、大手企業から中小企業へと物価高を上回る賃上げが進んでいる。
コロナ下から景気の回復に伴い人手不足感が高まり、企業が選ばれる時代に変わって来た中で、連合の一時集計で賃上げ率が平均5.28%に出ており、今後は中小の賃上げがどこまで近づけるかがカギになりそうだ。
特に労働集約産業である小売りや外食は人手不足が営業に関係する為、「働きたい会社にしなければ生き残れない」と企業から声が出ている。
小売りや外食、繊維の労働組合が加盟するUAゼンセンはパート1人当りの賃上げ率は6.45%だったと発表した。パート時給の引上げは前年と比較できる97組合で見ると、時給のアップ金額71.2円となり、前年より10.4円増えた。
小売りで見ると、イオングループが7.02%増、ウェルシアHDが7.95%増、外食のロイヤルHDは7.2%増、トリドールHDは10%増と製造業を上回る。食品スーパーの中でも上場企業は5~6%増と全体の底上げが揃って来た。
内閣府が各国の最低賃金を比べたところ、日本の最低賃金は一般労働者の賃金中央値に対する比率は45.6%と他の主要国を下回っている。フランスと韓国は60.9%、英国は58.0%、ドイツは52.6%だった。このデータは国際的に最低賃金の妥当性を確かめるのに使われる。
連合は2023年12月に最低賃金の中期的な目標として、EU指令を参考に賃金中央値の6割水準を目指すとした。政府は30年代半ばに全国加重平均で1500円を実現することを目指す。
賃上げが消費に回り、経済の好順化につながることを目指すために、企業は賃上げ原資を商品の値上げに求めることになる。商品に差別化がなく、商品競争力がない場合に値上げが難しいのは当然であり、今まで値上げに対して抵抗感がある理由になっている。
その場合、低価格が消費者に評価がされ繁盛する店舗も出てくるが、将来に対して生産性を上げていくことは難しい。値上げは商品のこだわりと差別化を明確にして、消費者に分かってもらう。食品の健康ニーズの中で美味しさを追求する商品開発が重要になっている。
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