値上げ疲れの商機とAIの活用

「今年のお盆帰省はコロナ前超え」

航空各社が発表したお盆期間の予約状況によると、

国内線の予約数は2019年を上回り、大手旅行予約サイトのホテル予約数は2019年を上回った。

日本発の国際線は円安与件の中、ANAがコロナ前の5割水準ながらGWの3割より回復している。

帰省地域のお盆需要はコロナ前に戻り、スーパーは賑わうことが期待できる。

「食料インフレ再熱懸念と対応」

輸入鶏肉の最大供給国のブラジルで鳥インフルが発生し、供給懸念が広がった。

輸入鶏肉はブラジル産が7割を占め、8月上旬の卸値は1kg¥450と7月より6%高い。

次いで多いタイ産もつれ高して、卸値は40円高い1kg¥480前後に上昇した。

コメの最大輸出国であるインドが白米の輸出禁止を発表、

インドのコメ輸出は22~23年で世界全体の4割を占め、

インドに次ぐタイ産はエルニーニョ現象によりコメ不足が高まっている。

足元ではコメと並ぶ小麦にも、ロシアのウクライナへの圧力で供給減が懸念される。

食品の値上げは8月には1102品目と前年同月比56%減と発表されている中、

全国スーパーの販売データを集計する日経POSでは、

7月17~23日の店頭価格は主要60品目の内、58品目で値上がりし、

値上げした食品の7割に当たる40品目で販売数が減少、消費者には値上がり疲れも見える。

夏のお中元商戦が最盛期を迎える中で、百貨店では変化が起きている。

矢野経済研究所によると、2023年の中元・お歳暮の市場規模は約2%減る見通しで、

百貨店の担当は顧客の高齢化などを背景にピーク時に半分位になっているという。

「値上げ疲れに商機」

厚労省がまとめた5月の実質賃金は前年同月比で1.2%減少、

一方消費者物価は(生鮮食品を除く)5月も3.2%上昇の高水準が続く。

消費者の値上げ疲れが見える中で、スーパーのPB商品が伸びており、

大手のイオンやセブンの販売品目数を24年2月までに2倍に増やす方針だ。

値上がり環境下、スーパーの総菜が好調に伸びており、

日本惣菜協会によると、22年の総菜市場は前年比3.5%増の10兆4652億円、

コロナ禍からの復調も鮮明で、スーパーの総菜は22年は19年比12.4%増となった。

総菜市場の伸びに合わせ、大手のライフCOは店舗によって350種類の品揃えを増やし、

同社では店内製造とプロセスセンターの製造にサテライトキッチンを設けて、

その周辺店舗の弁当や総菜を供給している。

又、惣菜強化を進める首都圏スーパーのヤオコーは23年3月にSPA推進部を設置して、

原材料の調達から加工、販売まで連携して惣菜開発を行い、

部門横断で商品開発を強化し、規格外青果物の活用など原材料まで踏み込んだ惣菜製造を進める。

物価高の中で消費者の節約志向が高まり、週に2~3回店舗に来店する消費者は、

スーパーは値ごろ感に加えて飽きさせない商品開発が求められている。

「企業の生成AIの活用で生産性向上」

日経の100社調査で主要企業の7割がAIを使って労働時間の削減を計画し、

メーカーの中では最大作業時間が4割の時短や資料作りが半分になった企業もある。(日経)

ファミマは23年内に5割以上を対象に、25年には全社員がAIを使えるようにする方向、

又、同社は店舗への商品配送でAIを使った効率的な配送方法を拡大、

弁当やパンなどに加え、秋から冷凍食品も加えてトラック運転手の24年問題にも対応する。

店舗の惣菜部門の作業を見ると、

売場の販売計画や製造計画作成を行って作業している店舗はまだ少ない。

売場では製造・販売作業が主になる中で、計画作成のデスクワーク時間が大きな負担になっており、

今後惣菜の強化を中で、販売チャンスロスや値引きロス削減の精度を上げながら

生産性を上げていくために、計画作成にAIの活用が欠かせない。

 

<スーパーの惣菜・米飯・寿司>

<お盆特性弁当>

*街角通信は毎週、日曜日に配信しております。

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