猛暑の影響と食料・買い物難民

「猛暑、街角景気は足踏み」

内閣府発表の8月街角景気判断指数は、

前月から0.8ポイント低下の53.6となり、低下は2か月ぶりとなった。

家計関連動向では0.5ポイント悪化の54.0、飲食は3.2ポイント下げて52.6となり、

猛暑の影響で外出を控え、お盆が過ぎてから急激に来店客が減少したと飲食店の動向、

又、物価高も重荷で一般レストランでは価格への転嫁が出来なく厳しいとの声が多い。

2~3か月先の先行きDIは7月より2.7ポイントダウンの51.4となり、

特に飲食店の下げ幅が最も大きく、8.7ポントマイナスの53.3。

ディナータイムに外食利用が減少すると懸念している。

猛暑の影響を受けて野菜の価格が軒並み高騰しており、

全国的に収穫量の減少や生育障害につながっている。

主力産地の東北や北海道の野菜はトマトが8割高、人参が7割高、大根が5割高など

夏秋トマトの産地では、出荷量が前年同期の3分の1に落ちている。

8月の物価総合指数は前年同月比3.1%の上昇で7月から横ばいだが、

人手不足の影響を受け、サービス価格も2か月連続の2%を上回り、

消費増税時を除くと1993年9~10月以来の29年ぶりの上昇となった。

これは物価とサービスの両方から値上りしており、国内経済と消費に大きな重荷となる。

一方、輸入小麦価格は10月から政府からの売り渡し価格が3年ぶりに値下がりし、

4~9月に比べて11.1%安い1トン当り6万8240円となる。

日本の食用小麦の8割は米国やカナダからの輸入で、

23~24年の世界の小麦生産量は約7億9千万トンと過去最高水準となる見通し。

又、秋の味覚のサンマ水揚げ量が9月に入って増え出したと報道され、

魚体も1尾120g以上と久しぶりに秋の味覚を味わうことが出来そうだ。

「食料・買い物難民」

農林水産省によると、自営の農家従事者の平均年齢は22年時点で68.4歳、65歳以上では86%を占める。

このままでは離農が急速に進み、三菱総研は農家数が50年には17万7千戸になると試算で

現在に比べ81%も減少し、その間の人口は16%の減になる見込み。

16年~20年の農作物収穫量の減少が続くと仮定すると、

ホウレンソウやサクランボは49年に消滅し、50年には大根が半減、レタスや南瓜は4割減、コメは6割減と予想する。

日本の食料自給率はカロリーベースで38%、米国は110%、ドイツは80%を超えるなど、

日本は主要7か国の中でも最も低い。

あと10年もすれば多くの戸別農家は崩壊すると予想される中で、耕作放棄地の農地は空いており、

身近な地域で自分たちの食料は自分で作る仕組みが必要になって来ている。

未来の農家を救いために、AIなどテクノロジーを活用した農家作業の省力化や外国人の労働力の

確保や植物工場での効率的な大量生産の仕組づくりなど、これからの農業の姿も変わって行く。

総務省の21年調査によると、食料品を扱う小売業者は約2万3000業者だが、

約10年でドラッグストアの競合などで食品スーパーの閉店が進んでおり、食品スーパーを含む食料品店は2割減少した。

これに比例して増えているのが「買い物難民」であり、農林水産政策研究所の推計では

東京・大阪・名古屋の三大都市圏では約377万人と全体の45%を占め、

25年には全国で約871万人に増加すると予測する。

買い物難民とは自宅からスーパーへの距離が500m以上で、車を利用できない65歳以上の生活者とされており、

これを解決してくれるのが「とくし丸」など移動販売車で、

現在国内各地で約1100台以上が稼働しており、島根県などは移動販売に補助金を出す自治体もある。

「コスト削減対策が各方面で進む」

日本マクドナルドは物流倉庫から店舗への食材・資材の配送頻度を2割減らす。

24年から始まるトラック運転手などの残業時間問題に対応すると共に

トラックによる走行距離を短くしてCO2排出削減にもつなげる。

配送回数は週6回から5回に減らし、配送回数を減らしても売上が減るのを防ぐ為、

配送1回当りの積み込む荷物を増やすなどして、配送料を減らないようにする。

又、運転所作業の負荷を減らすために、荷物の荷受けは店の従業員が行う。

コストコと花王は作業時間を2割減らせる新型コンテナを実用化、

店の陳列棚と輸送コンテナを兼ねており、納品すると開封せずに売場に並べられる。

コンテナは花王が開発し、コンテナは繰り返し使用することが出来、

店舗はカッターで段ボールを開封することもなく、品出し作業時間を削減できる。

気候温暖化と異常気象などの環境変化による農水産物の収穫減少、

それに合わせて農水産業に従事する人の減少、

日本の将来は食料難民と買い物難民の両面から対策が必要になっている。

<スーパーの惣菜・米飯・寿司>

<おこわ2食弁当>

*街角通信は毎週1回、配信しております。

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