物価上昇を伴う賃金上昇を目指す

「2024年春季交渉、強気目標」

流通や外食、繊維などの労働組合が参加するUAゼンセンは

2024年の春季労使交渉でパート時給を6%賃上げする目標を明らかにした。

時給で70円に相当し、昨年を上回る目標を掲げた背景には人手不足と地域の賃金上昇がある。

UAゼンセンは正社員の賃上げ率も6%を掲げ、共に連合の賃上げ目標を上回る。

帝国バンクによると23年7月に人手不足を感じる企業の割合は30.5%で、

毎年7月時点ではコロナ前の18年に次ぎ5年ぶりの高水準だ。

特に人手不足感が強いのは「飲食店」で83.5%、旅館ホテルも68.1%と過去5年で最高水準。

人材サービスのリクルートやディップが発表した10月のパート・アルバイト平均時給は

三大都市圏で前年比26円高い1177円、フード系は47円高い1135円、

「製造・物流・清掃系」は21円高い1183円と最低賃金の引上げに沿って上昇した。

「食品の値上げ効果」

食品メーカーで値上げ効果が拡大しており、3月決算の食品業種の株式総額上位の数値は

23年4~9月の値上げ効果は22年同期間のほぼ2倍に拡大し、原材料高630億円の影響を上回った。

明治HDは23年4~9月期の効果は304億円、雪印メグミルクは前年同期比14倍以上に拡大、

価格改定効果がコスト上昇分を逆転し、プラスを生む構造に転換した

帝国バンクによると、2024年の主要食品メーカーの値上げは、

1万品目前後となり、23年よりも7割程度減る見通しだと発表した。

主要食品メーカー195社の発表では24年1~4月期の値上げ品目は1596品目で前年比9割少ない。

こうした動きの背景には消費者の値上げへの抵抗感が強まっており、

21年以降値上げした主力商品について「販売量が減った」と回答した企業は全体の56%と回答。

23年初めに家庭用・業務用冷凍食品を値上げした味の素は

同社冷凍餃子では値上げした以降のシェアは13%減の31%となり、

1位の座を「大阪王将」を展開するイート&HDに譲り渡すことになった。

その他小売りPBの比率は増えており、ヤオコーとライフのPB 「スターセレクト」は

23年4~9月期の売上高は前年同期比10%増になった。

「物価上昇はモノからサービスへ」

日銀が27日発表した10月の企業向けサービス価格指数は前年比2.3%の上昇、

上昇率は3か月連続で2%を超え、調査対象146品目のうち7割近くに上った。

モノとサービスの構成比比率はほぼ半々で、人件費の上昇分を転換して給与所得を増やし、

消費者物価指数を上げる循環にはサービスの動向がカギになる。

企業向けサービス価格の内訳はSEの人件費上昇に伴うソフト開発が前年比4.7%増、

派遣労働者サービスが2.2%上昇した。

専門家は日本では米国同様に労働集約的なサービス分野の価格引き上げが

物価上昇を支える局面に移行しつつあると指摘する。(日経)

公取は受注企業と発注企業との取引で受け取る対価について

価格転嫁を促す指針を発表し、順守しない場合は独禁法違反になる。

日本は99.7%の中小企業が占め、賃上げに向けて大企業が中小との取引で支払う

対価を適正に保ち、中小企業に賃上げの余力を保つ必要がある為、

公取は企業間取引の交渉に企業の守るべき12の行動指針を示した。

これは小売りとメーカーの関係にも相当し、

仕入れ価格を長年低く据え置くなど優越的地位の乱用といった独禁法違反や

「買いたたき」行為になる恐れがある。

受注者は価格交渉の際に最低賃金の上昇率といった客観的なデータを用いることや、

それを基に自社の希望価格を示すことで中小企業の価格転嫁を促す。

日本が求める2%物価上昇に伴い、それを上回る賃金上昇が経済の好循環になる。

2024年はそれに向かって日銀、政府、企業が果たす行動を期待する年になりそうだ。

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*街角通信は毎週1回、配信しております。

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