消費の多様化で進化する小売り業

「消費者物価と節約消費」

総務省発表の1月消費者物価指数(CPI)生鮮を除く総合指数は

前年比2.0%のプラスで日銀目標の2%は維持したが、

3カ月連続で伸びが縮まった。

輸入物価が先どまりする中で、

サービス価格も1月は前年比2.2%プラスと7カ月ぶりに伸びが鈍った。

タクシー代は前年比8.3%、警備料が4.2%プラスだが、

宿泊料や航空う運賃などは2.0%プラスと12月3.6%から伸びを縮めた。

外食店やスーパー惣菜で使用する食用油が5か月ぶりに値下がりした。

原材料の大豆や菜種が値下がりするのと合わせ、

外食において揚物を減らすメニューの動きや需要が伸びていない。

業務用食用油は全体の3割を占める中で、

卸し価格は1缶(16.5kg)¥6450前後と昨年末比200円安くなった。

マグロの高級品であるクロマグロの価格が急落している。

各国の激しい買い付け競争から、相場の流れが変わって来ており、

輸入冷凍クロマグロの平均価格が23年12月は1kg¥3220と

22年直近ピーク時¥4500より3~4割程度下落した。

水産卸は「高級品のクロマグロは節約志向もあるせいか、

正月などハレの日以外は消費は落ち気味になって来た」と指摘する。

調査会社ボイスコムによると、

2023年に家計を節約したと回答した割合は6割を占め、

物価上昇や将来不安から食料品や外食を押さえる人が目立つ一方、

旅行など楽しむ消費は増えており、支出にメリハリをつける動きが目立つ。

節約した項目では、「食料品」が41.2%と最も多く、

「外食」37.8%、「衣料品」30.4%が続いた。

「小売り業態の進化」

セブン&アイHDはコンビニと食品スーパーを融合した新型店を展開する。

イトーヨーカドーの調達網を生かして生鮮食品などを充実させ、

店舗面積は290㎡、品揃えはコンビニの2倍5300品目とコンビニより一回り多い。

都市中心に単身世帯が増加する中で、冷凍食品を増やし生鮮食品を揃えて

通常のPB商品の他、ロフトや赤ちゃん本舗のグループ会社の商品も並べる予定。

1号店の日商目標は130万以上を見込む。

イオン傘下のドラッグ最大手ウェルシアHDと、2位ツルハHDの経営統合を発表、

売上高ではドラッグストアで世界5位となり、

目指すのは高齢化が進む中国・東南アジアの20億人市場で、

東南アジアは国内のドラッグストアにとって「ブルーオーシャン市場」と言える。

国内では調剤薬局を併設したり、食品の品揃えを増やすことで集客でき、

食品スーパーは生鮮食品と惣菜デリカの独自MDで勝負することになる。

「デパ地下」が地上に出て稼ぐ動きが活発だ。

市場縮小の中で、電車に乗って百貨店に来てもらう姿勢から脱却し、

自ら顧客に近づく戦略でコンビニ・スーパーと同様になって来た。

阪急うめだ本店は「8984」ナンバーの移動販売車で大阪府下へ出かけ、

百貨店デパ地下の食品を販売する。

そごう西武は21年から始めた「e・デパチカ」の導入店舗を広げて

デパ地下の食品をネット注文から最短45分で商品を届けるサービスで、

広島や秋田など地方や首都圏店舗で拡大する。

西武池袋店の場合は専用担当者が出パ地下食品売場で集荷し、

委託配送先の業者が宅配する。

80ブランド、500種類から対応し、雨の日などは1日に120件ほどの注文が入っている。

消費者は普段の節約消費とハレの日やこだわり商品にはグルメ消費の

メリハリをつけた買い物行動は続いている。

この2極化消費に対応する為に、百貨店デパ地下の販売方法も変化し、

近くのコンビニは生鮮食品を拡大強化し、消費の選択を広げる。

<スーパーの惣菜・米飯・寿司>

<お花見寿司弁当>

*街角通信は毎週1回、配信しております。

コメント

タイトルとURLをコピーしました