「人手不足、変わる働き方」
中小製造業の労働組合が構成する「ものづくり産業労働組合JAM」は
2024年春季労使交渉で中小の3月末時点の賃上げ率は4.12%と発表した。
ベースアップに相当する賃金改善額は前年を4割上回る7270円だった。
主要製造業で構成する金属労協の1227組合では賃金改善額は
前年比70%増の9593円となり、過去10年間で最高になった。
3月の日銀短観では非製造業の雇用人員判断指数(DI)はマイナス45と
1991年調査以来の33年ぶりの低水準に落ち込んだ。
宿泊業などでは人出不足でインバウンド需要を取り込めない例が相次ぎ、
従業員不足で予約の7割程度に稼働に抑えている例が出ている。
旅館ではGWを控えて旅行会社からの予約を何度か断ることになったという。
今は職に就かず仕事を希望する「働き手予備軍」は2023年に411万人で、
15歳以上のうち3.7%に留まり、この20年で半減した。
総務省調査によると、
15歳以上で職に就かず仕事をしていないが、
就業を希望する人は23年に233万人と20年前より297万人減少、
職探しをしている完全失業者は178万人、合わせて411万人と減少しているのは
女性や高齢者が働く環境が進んだことが影響している。
帝国バンクは5日、人手不足が原因の倒産件数が、
2023年に前年比2.1倍の313件に達したと発表した。
時間外労働の上限規制が4月から始まり、更に人手不足が懸念される。
特に3月の倒産件数が多く、建設が前年比2.3倍の94件、物流が1.8倍の46件、
規模別では10人未満の倒産が全体の74%を占め、
10~50人未満が20%で、50人以上が6%に留まった。
従業員の少ない零細はデジタル化の対応が遅れ、生産性向上の遅れが大きい。
「4月から変わる生活・働き方」
帝国バンクによると、食品メーカー195社が4月から2808品目を値上げする。
背景には原材料高に加え、人件費や物流費の上昇があり、
足元の151円の円安が輸入原料のコストを押し上げる。
物流ドライバーだけでなく、医師や建設業労働者の時間外労働の規制があり、
残業は原則として年360時間、労使の合意があれば年720時間までとなる。
その他、一般ドライバーの自家用車で「日本版ライドシェア」も4月から始まり、
タクシー運転手の収入にも影響を与える。
残業規制やライドシェアによる給与収入の減少が予想される中、値上げが生活を変える。
DS型スーパーのドン・キホーテの働き方が注目されている。
同店は「個店経営」と呼ばれる手法が業績と報酬に関連しており、
パートタイマーに当たるメイトには1日当りの粗利益率の達成が求められ、
商品の調達から棚割り、値付け、在庫管理までの業務が任せられている。
こうしたメイトの働きぶりは時給にも反映され、
時給の改定次期は半年ごとに実施され、
日々の荒利達成状況や仕事の工夫によって評価され、最高240円アップする。
同社では「メイトに狭く深い範囲で業務を任せることで、
仕事は自分事になり、販売に対する責任感が強まり、結果が出るという。」
同社での商談はメーカーや問屋の担当者が本部に行かず、
売場担当者のメイトと直接交渉する。
メイトには数百万から数千万の仕入れ権限があり、
毎月の粗利益率を達成すれば半年ごとに昇級・昇進することが出来る。
若い社員であっても半年後には部下になるなど、立場が逆転する例もある。
又、同社の経営哲学には「仕事をワークではなくゲームとして楽しめ」とある。
働きで生産性を上げるには
働く人の「働きがい・働きやすさ」が伴わないと仕事の結果にはつながらない。
それは正社員でもパート・アルバイトでも同じ原理だ。
これを企業の組織として、どのような仕組みをつくれば良いのか、
特に労働集約産業の小売り業には重要なテーマになっている。
<スーパーの惣菜・米飯・寿司>
<花見行楽弁当>
*街角通信は毎週1回、配信しております。
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